最初ペニノじゃなくベニノだと思っていた。ペニノだとなんだか間抜けな感じだし、なんかアレに似ていておかしいと思ったのだ。そうしたらほんとうにアレだった。椅子、チェスの駒、リコーダー、水筒、マスクの把手などあちこちにアレの意匠がちりばめられていて、思わず手を合わせたくなるくらい大量に...
母と二人の娘、そして妹の先輩の女、四人が登場人物。 いつもそうだけど、人と人の関係性が抽象化されて、地球じゃない空気の組成が違う星での物語かと思うくらい。だからその分背景の細かい書き込みは必須。それがないと単に説明不足でリアリティを欠いた話になってしまう。今回60分でとてもコンパク...
宮沢章夫さんとシティボーイズの組み合わせに強烈な懐かしさを感じてしまったが、ラジカルガジベリンバシステムを生はもちろん映像でもみたことがないので、その懐かしさになんの根拠もないのだった。しかし、本物であれ偽物であれ、実際にこの目でみなくてはすまないことには変わりがない。 期待に違わ...
おなじひとり芝居でも観客に物語を語りかけるスタイルの戯曲ならここまで苛酷じゃないだろう。ほとんどのセリフがひとりごと。しかも堂々めぐりを繰り返す。演じる俳優はほんとうに大変だ。そしてみている観客、とくに金曜日の仕事帰りの疲れ切った観客(ぼくのことだ)にとっても苛酷な体験だった。前...
ナンセンスコメディをそつなくつくるひとはほかにもいるけど、自分の足元をゆるがすようにナンセンスを突き詰めているのは、今やブルースカイ改めブルー&スカイくらいかもしれない。 フリーター松木は恋人だった人妻涌井から関係の解消を告げられるが、彼女はこれからもべつの形で彼の役立つことをして...
2004年に上演された『男性の好きなスポーツ』の大改訂版。見てはいるがあらかた忘れている。今回は、前回のエピソードの断片を使いつつ、新たな要素を加えて再構成し、まったくちがうものに仕上がっていた……はずだ。全体的に一歩引いた冷めた視線から描かれている。エロスでなく「エロス」という...
直前まで迷ってギリギリ千秋楽にみにいった。エロとダジャレが飛び交うミュージカル。明らかにぼくのテリトリーじゃない。幕が開くと、いきなり7人の男たちが妙な歌と振付で登場して、まちがったところに来てしまった感が強まり、これから二時間堪えられるか不安になったのだが、終わってみれば掛け値...
サンプル旗揚げ前の松井周作品の再演。 舞台はおいしい水がヒット商品である自然食品ショップの地下室。水は店長の「息子」森男しか作ることができず、その製法には秘密があった。実は息子といっても血はつながっておらず、スタッフはほぼ全員性的関係を含めた擬似家族的な紐帯でつながっていて、一種カ...
短編集だし脱力系の歌が冒頭や途中にはさみこまれるから、気を抜いてみていると、にじみ出てくる毒にあてられる。思ったより骨太な芝居だったのだ。 最初この「昨日の祝賀会」というユニットの性格を知らず、なぜ永井若葉さんが前面に立ち続けすべてをかなぐり捨てる奮闘をしているのかわからなかったが...
欲をいえば。 と感想の冒頭に書きたくなる芝居だった。音楽や鳥のさえずりなどの「音」が失われてしまった世界、その音を取り戻すためにはぐれて別々に旅をする夫婦の物語。とてもよくできた大人のメルヘンだった。登場するキャラクターがそれぞれ個性的で子供がみても十分楽しめる内容だが、欲をいえば...
今年の観劇納め。のはずが納まらないもやもやが残る舞台。4時間超の今年最大の失敗作というのもそれほどひどい表現じゃなくて、というのもあえて成功パターンをはずしにきてこうなっているからだ。その心意気は買いたい。 以下の記述はネタバレ含む。 ウィルヴィルという町を暴力で支配するエイモス家、...
<img src="http://i2.wp.com/asharpminor.com/wp-content/uploads/2012/12/polygraphe.jpg?resize=171%2C240” alt="polygraphe” class="alignleft” wp-image-3820” data-recalc-dims="1” /> カナダのフランス語圏ケベックで活躍する Robert Lepage の映像作品の舞台化。未解決の女性惨殺事件の関係者3人が登場人物。被害者女性をモデルにした映画のヒロインに抜擢された女優ルーシー、ルーシーの隣人で偶然被害者女性の友人で第一発見者でもあったゲイ男性フランソワ、そしてフランソワの...
前作は架空の国の設定でリアリティが感じられず入り込めなかったのだが今回は現代日本の一般的な家庭が舞台。父、母、高校生の娘、の三人家族に、今日は家庭教師の先生(男)がきている。成績があがったお祝いにみんなで外食にいこうという話になるが、そこに予期せぬ訪問者がやってきて……。 ちょっと...
開演直前に大きめの地震というハプニング。そのあと芝居の中にも大きな地震のシーンが出てくるというシンクロニシティー。 イキウメをみはじめて日が浅いので受け売りだが、『図書館的人生』というのは数編の短いストーリーをつなげたオムニバス作品のシリーズでこれまでに3作品上演されている。今回は...
映像と演劇がシンクロするハイブリッド演劇。リリカルな映像と詩情がすばらしい凝縮された60分間。散歩中に迷って10分遅れたのが痛恨だった。ぜひ、もう一度みたい。 ひとりの女の子と彼女を見守る2人のゾンビの物語。演劇で表現できないことを映像で補完するというより、演劇と映像を組み合わせた...
今回に限らず田川啓介の作品はみなそうなのだが、登場人物はみなだれかから掛け値なしの全幅の愛情を得ることを希っている。でも、求めた相手はまったく無関心で別の人に愛情を求める。というn=5のウロロボスの蛇的な構造がある。その円環の内側にはただ一人イマジナリーな女性が存在していて、彼女...
ぼく的にも初のアンドロイド演劇だが、これまでのアンドロイド演劇は30分弱で通常の演劇と同じ時間くらいの尺ははじめてということだし、ちょうど今日が初日というはじめてづくしだった。そのおかげで平田オリザさんと、アンドロイドの技術を提供した石黒浩さんのアフタートークをきくことができたが...
かつて自身が引きこもりだったという岩井秀人が、引きこもりの青年たちとその家族、彼らの社会復帰を手助けする団体の人々を多面的に描いた作品。自身の引きこもり時代を描いた『ヒッキー・カンクーントルネード』の続編ということらしいが、そちらは未見。 引きこもりという現象を通して、人間、セカイ...
6年前の再演ということだけど、ぼくは初見。 生徒の自殺未遂があった中学校の職員室が舞台。一見しっかりしていて頼りがいのある女教師里見は、実は極端に自己中心的な性格で、自殺しようとした生徒からの手紙を無視していた。さらに、そのことを隠蔽するために陰謀をはりめぐらす。 里見先生というキャ...
五反田団とフランスの劇団ASTROVのコラボレーション。台本は前田さんが書いたが、演出は ASTROV の Jean de Pange が担当して、前田さんは稽古場にほとんど顔をださないようにしていたそうだ。日本側の出演者のちらしのコメントから、意思疎通をはかる上での苦労ぶりが伝わってくる。 タイトルでもわかるようにテ...