劇団アンパサンド『歩かなくても棒に当たる』

岸田戯曲賞受賞作の再演。本作もまた、これまで観た作風に連なる一本だ。女性たちが下の名前で呼び合う親密な日常のインナーサークル。その閉じた空間に、気づけば亀裂のように異物が入り込み、少しずつ不穏が広がっていく展開だ。もっとも、受賞作ではあるものの、これまで観てきた同系統の作品群の中で、傑出しているかと言われると微妙だ。 ...

KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト『帰ってきた冒険者たち 闇に落ちたカナガワを救え!』

先日観た『冒険者たち』の再演と同じ座組による続編。本作では、前回共同演出を務めた大澤遊が単独で演出を担っている。 物語は前作の直後から始まる。現代の神奈川県に迷い込んだ三蔵法師一行は、いまだ元の世界に戻れずにいる。ところが、彼らを助けたはずの神奈川県の道祖神が闇に堕ち、海老名に絢爛な“ニュー国分寺”の七重塔を建立。その反射光によって県内は異常な熱波と渇水に見舞われ、社会は混乱に陥る。三蔵法師と猪八戒は捕らえられ、残された孫悟空たちは仲間を救うべく県内各地を奔走する。 ...

KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト『冒険者たち JOURNEY TO THE WEST』

2026年の初観劇は、少し足取りの定まらない一歩から始まった。まだ身体も感覚も「観劇のリズム」を思い出しきれていない。そんな状態で向かったのが、「KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト」第1作の再演である。 ...

『スリー・キングダムス』

日本初演。タイトルは三国志を想像してしまうが、舞台は古代中国ではなく現代ヨーロッパの3カ国だ。初演は2011年でまさにこの3ヶ国を順次回ったらしい。 ...

岡崎藝術座『森ノ宮アンナのおかなしみ旅行記』

なんとなくワーク・イン・プログレス的な雰囲気を感じてあまり期待せずにみたのだけど、おそらく今年一番セリフに強さと自然さを感じた作品だった。 ...

『鼻血―The Nosebleed―』

観客参加型の演劇は苦手だ。入口でルーズリーフと鉛筆を渡されてたじろいだけど、そのたじろぎを乗り越えてみるべき作品だったと思う。 ...

ヌトミック『彼方の島たちの話』

2度目のヌトミツク。生者と死者の関係性がテーマなのは前作と共通している。ここでは死者は生者と同じく姿を表し言葉を交わす。崖から海に飛び降りて自死した人とその残された家族という3組のペアが登場する。最初、自死をとめられず罪の意識を感じる遺族と死者がわかりあえてお互い癒されるというありきたりな話なのかと思ったが、この作品のメッセージはもっと尖っている。 ...

まつもと市民芸術館プロデュース『チェーホフを待ちながら』

枠物語の構成をとっている。 外側の物語は『ゴドーを待ちながら』のパロディーだ。せっかくゴドーがあらわれたのに人々が待っていたのは彼ではなくチェーホフで、彼はどうにかチェーホフになろうとする。彼は、チェーホフがどういう人かを理解するため学ぼうとする。 ...

城山羊の会『勝手に唾が出てくる甘さ』

城山羊の会の下ネタに注目する向きがあるけど、フランス映画の中でもエリック・ロメール作品のような洒脱さが中核にあって、下ネタは下品にならないぎりぎりのところを攻めている気がする。いや、時々下品な時もあるが、その逸脱の感覚がスリリングなのだ。 ...

阿佐ヶ谷スパイダース『さらば黄昏』

過疎の村の駐在所が舞台。駐在である竹井は退職して故郷に戻ろうとしていた。そこへ、不穏な事件が立て続けに起こり、かつて村を隠然と支配し放火殺人を起こし服役していた男が出所して弟と甥を引き連れて村に戻ろうとしているという話を聞く。当時逮捕したのは竹井だったのだ。 ...