舞台は銀座。かつて海でいまもカモメの菅がかいま見え、風向きによっては潮の香りがする場所。とある兄妹を主軸とする物語。彼らの家庭を崩壊させた父のかつての愛人葉子と兄アキオはいま親しい関係にある。兄に弁当を届けに来た妹イズミはそれを知る。というベースラインの物語は、銀座で暮らす若年浮...
森の最奥の家が舞台。そこの主人山鳥は、森で迷ってる人たちを救って自分の家に住まわせており。彼らからママと呼ばれ共同生活を送っていた。そこに八雲という刑務官が奇妙な届け物をもってたずねてくる。届け物はかつてその家に住み街に戻ってからテロを起こし処刑された男からでてきた黒い物体だ。そ...
岡田俊樹脚本でドイツで上演された作品の日本初演。本人じゃなく本谷有希子演出だ。 3人家族が暮らす家が舞台。妻に先立たれた80代の男性、その娘で学生時代から50代の今まで引きこもりの姉、40代無職の弟。そして話すことができる掃除機が狂言回しとして登場する。現代のある側面を凝縮したよう...
登場人物全員の顔が白塗り。そのことにDon’t Freak Out(ひかないで)というより、白塗りによりあらかじめ無用な感情移入の余地をなくしておいて、これから舞台で起きることにDon’t Freak Outという感じだった。 山奥で精神病院を経営する天房家に女中として奉公する姉妹...
今年初観劇。気づいたときには前売りの予定枚数が終わっていたが当日券をゲットした。 ブルー&スカイ作品を見るのはなんと10年ぶり。世の中はこの10年間に大きく変わってしまったけど、アートとか批評に流れずとことん無意味なナンセンスを追求するスタイルはまったくかわってなかった。こ...
同窓会ということでやってきた3人がかわるがわる自分の物語を語る。冒頭の松井周さん(役名は役者の名前と同じになってる)はタイに移住してラオスで焼酎工場を経営している。そうなるにいたった経緯を語ろうとしているのだが、次々と脱線して、バンコクで見つけた野外のバーの話から、そこで出会った...
舞台に限らずテレビドラマなんかでもコロナはなかったことにされている作品が多い気がするが、『ワクチンの夜』に続いて、コロナをちゃんと作品の背景としてとりいれているのは希少かもしれない。 これから人に会うのでコロナの検査を受けてきた若いカップルねるりとコウが近くの公園にやってくる。そこ...
上演時間40分だけど短いという感じがまったくない凝縮された時間だった。 2022年2月、正社員として働く独身女性のモノローグ。注意してたのにコロナに罹患するが回復する。そのあとの物語。たぶんコロナ以前はかろうじて耐えられた、日々の理不尽が耐えがたくなり、呪詛をはく。それは「あなたた...
コロナ以降観劇の回数がガクンと落ちた中、1年に2回ヨーロッパ企画をみるとは、なかなか奇遇だ。 あるプロ野球選手の半生記のような番組の撮影のため彼の故郷にやってきたテレビクルーたち。町の人たちは、ゴーレムという巨大な土の像が意識を持って動き回りいろいろ人々のためになることをしていると...
2020年の年末に上演された朗読劇『そして春になった』の続編(もちろん見てなくても大丈夫)。あちらは女性関係が派手な映画監督の妻と彼の愛人である若手からベテランに差し掛かりつつある女優がある若手女優の「事故死」をめぐって手紙のやり取りをするという作品だった。 今回はそれから数年が経...
以前長塚圭史演出でみたが今回はベルギーのIvo Van Hove演出。(原語は英語なのに)上演も全編フランス語で日本語と英語の字幕が表示される。英語以上にフランス語だと字幕に頼るしかなく、舞台よりそちらに注意をもっていかれたり、スペースのせいで細かいニュアンスが省かれたりするのはまあ仕方...
ナンセンスコメディーかと思ったが、違った。建てつけとしては、まだ戦争の傷跡が残る昭和30年代前半を舞台に喜劇一座の盛衰を描いた、わりとシリアスなコメディーだ。若手役者のあれやこれやは新しい笑いを生み出そうと台本を書き座長に上演許可をもらうが、自らの演技によりクオリティが落ちること...
笠木泉さんの関わった作品はこれまで割とみてきたつもりだけど新しいユニットを立ち上げて作・演出をしていることについ最近気がついた。出演している人たちもなつかしい顔ぶれだ。特に松竹生さんを舞台でみるのは16年ぶりで、いい歳のとり方をされていることに安心しつつも、特にコロナ以降ひどくな...
明後日というのは小泉今日子さん個人のプロデュース会社だそうだ(洒落た名前だ)。場内のアナウンスは小泉今日子さんが担当していた。 窓の外から建設中の塔がみえる高層マンションの一室。そこには元パイロットの高齢男性サワダが病気療養のためひとりで暮らし、通いの家政婦の玉田が毎日世話のために...
2年前に上演しようとしてコロナで中止になった作品の新規まき直し。そのときとはかなり変更したらしい。でもコロナ前の2019年が舞台の物語だ。 加奈が森田に、彼氏の憲治が浮気をしているんじゃないかと相談するシーンからはじまる。その会話がシームレスに加奈とその友人夏子の会話に移行する。つ...
中央に白い机と椅子、棺のような箱が置かれ、その周りを客席が取り囲んでいる。ちょっとままごとの『わが星』を思い出した。 事故で10年以上植物状態でいよいよ人工呼吸器を外すという奇妙な時間差のある死の形をテーマにした作品。家族はもう思い出は何も残っていないと言う。だから進んだり戻ったり...
今年初観劇は久々のヨーロッパ企画。 今はなき香港の九龍城とそっくりな九十九龍城という魔窟が舞台。事件の捜査で二人の刑事が遠隔から九十九龍城の屋上の一角を監視する。彼らは謎の最新技術を使って壁の裏側までみることができる。肉屋の家族、パイフォンというバチものを作っている作業場、行方不明...
2018年12月以来の城山羊の会。前回のときにしばらくおやすみといわれてさみしく思っていたが実は昨年末も公演があったらしい。教えてほしかった。 ワクチンをうった日の夜というのは考えてみると特別なシチュエーションだ。副反応の可能性があって多少のことは大目に見てもらえそうだしそれが一種...
ナイロンとしては3年ぶりの新作公演とのこと。今回は徹頭徹尾100%混じり気なしのナンセンスコメディー。主人公は鈴木タモツという持病をもつ少年(でも39歳)で、実の母親に保険金目当てで殺されそうになるが助かって孤児院に入る。そこを訪ねてきた政府関係の組織の会長に見初められ、近々開催...
80歳を目前にした女性というか彼女が住む築40数年の家が主人公と言った方がいいかもしれない。亡き夫の命日で家族が集まる日。彼女にはこの家を設計した建築家の姿が見え、話すことができるが、他の人には見えない。彼は現実の建築家の幽霊というよりこの家の精霊のようだ。 孫の質問を契機としてこ...