近所や取引先の人を招待してのホームパーティーが舞台。夜がふけてほとんどの客が帰り、残ったのは、ホストの添島夫妻のほかは、デザイナーの斉藤夫妻、たまたま同姓で病み上がりの斉藤雅人、トヨタの社員で遅れてやって来た田ノ浦のみ。あとから添島家のひとり息子が帰宅する。 いつもはけっこうマジッ...
もともと別役さんの新作を上演することになっていたが、病気のため執筆できずということで、急遽旧作の上演ということになった。なんかそそらないタイトルだけど、中身は大変おもしろおかしく、しかも今この時代の状況が射程に入った深い作品だった。 セールスマンが空っぽの檻のそばを通りかかり、地元...
16年前の初演は高熱をだしながらみた。芝居の内容はたいていしばらくたつと忘れてしまうのだが、この作品はまだ鮮明に覚えている。 (岩松了以外の)キャスト総入れ替えでどうかなと思っていたが、実際のところ初演よりはまっていた気がする。主役の仕立屋の男春樹を演じた光石研さんは完璧だったし、...
大学のサークルの仲間のひとりが卒業とともに故郷に帰るので、その送別会として温泉旅行にきた男女5人。そこはサークルのリーダー格の男加藤の実家の温泉旅館だ。加藤の姉がきりもりするスナックには加藤の同級生たちが働いている。同時多発的に盛り上がる何組かの恋模様……。 終始笑えて面白い、でも...
同性カップル主軸の群像劇だ。人間関係を整理すると、まずメインの同性カップルのさち子と祥子。さち子は元ヘテロで別れた夫との間に娘灯がいる。過食症になった灯をさち子がひきとることになり、ふたりの間に波風が生じる。彼らの下の世代の同性カップル夏来と珠美はさらりと描かれるだけ。珠美が勤め...
まず構成に度肝をぬかれる。前半と後半にわかれていて、前半は屋外3箇所で上演されるパフォーマンスのうち好きなものを選んで観ろといわれる。会場は元学校で、屋外というのは校庭のことなのだが、倉庫の上、体育館のバルコニー、中央のモニュメント的なものの前の3箇所に役者たちがいる。この三角形...
独立した作品としての初演だった前回公演からキャストや映像を一新してのほぼ2年ぶりの再演。まだ記憶がそれほど風化してないはずなのに見にいったのは、前回冒頭10分を見逃してしまったからだ。実際はけっこう記憶の風化も甚だしかった。 ヒドミの部屋には悲惨な最期を遂げて成仏できずゾンビみたい...
再演はスキップしたのでなんと2年半ぶりのペンギン観劇。 左右の足のサイズが3cm違って、それぞれ大きい方の足が右と左で逆なため靴を買いにいくときだけ一緒に行動する女の子真知と理々子が主軸の物語。高校生の二人が真知の父親と三人で遠くの靴屋を探すプチ冒険譚と、40年前の凄惨な殺人事件、...
ハプニング的にみにいくことにした舞台。その分情報が足りてなくて(いつものことだが)、昨年みた『光のない。(プロローグ?)』と混同して、その別バージョンだと思っていた。テーマとスタイルは共通しているが別のテキストだった。 覚悟していたが、「難解」という言葉に尽きる。プロローグ?もそう...
フランス語による上演で日本語字幕付き。 アンドロイド版『三人姉妹』がそうだったように、この舞台も原作を題材としつつもまったく別のテーマの作品に仕上がっている。舞台は2040年の南仏の小都市。社会は長く続く意味のない戦争のため疲弊している。気がかりな夢から覚めたグレゴワール・ザムザ(...
ヨーロッパ企画初見。ふざけた雑なタイトルだなと思っていたら、隙なくしっかり作りあげられた上質なコメディーで驚いた。タイトルも雑じゃなかった。第一印象は劇団所属の役者の人がそろって役者というより芸人ぽいということだ。 あるITベンチャーの一団が世界に名だたる有名企業のビルに招待されI...
30年前の野田秀樹の名作戯曲をマームとジムシーの藤田貴大が演出。 今回はかなり苦言が多くなってしまう。 まず、ポストパフォーマンストークでゲストの篠山紀信さんもいっていたがマイクを通した役者の声が著しく聞き取りずらかった。これは、この舞台の「難解さ」に一役買っていたと思う。あまりに...
2年ぶりの新作公演。まさにナイロンらしい、シュールでナンセンスでブラックなコメディーだった。 おそらく一昔前の景気がよく携帯電話がなかった時代。ある会社の屋上が舞台。ランチタイムのほのぼのした会話で幕を開けるが、社長が3ヶ月失踪中であること、犯罪すれすれの業務内容、社員ひとりひとり...
遺伝子操作で生まれたきたオレンジという10歳の少年。操作のミスで成長が速くなってしまいもう外見も思考も大人だ。それをいかして臓器細胞を身体に移植して成長させる「ファーム」という役割を引き受けている。彼を中心に、科学者で家庭を放棄した父親、離婚しようとする母親、そのパート先のス...
おお、メロドラマだ。いろいろ演劇をみてきたけど、演劇はメロドラマにはじまり、メロドラマに終わるんじゃないか。最近そんな気がしている。メロドラマというのはコンテンツというよりメディアなのだ。最小限の背景説明でその上にいろいろなものをのせられる。 お互い家庭を持ちながら密会用の部屋を借...
安部公房という名前をきいて、その作品世界からの引用をちりばめたシュールな作品をちょっと期待していたが、彼の後半生にリアルに焦点を当てた作品だった。おそらくは2013年に出版された俳優山口果林さんの回想記がベースになっているのではないだろうか。彼女をモデルにしたとおぼしきあかねとい...
英語にすると名作『わが星』と同じになってしまうが、その変奏曲だ。使われている音楽と宇宙と人間というテーマは共通で、出演者全員現役高校生(一人をのぞいて女子)、スタッフにも高校生参加というコンセプトで作られた舞台だ。 地球が高温化で住めなくなりつつあり、人類が火星に移住する未来。地球...
いとうせいこう作の『ゴドーは待たれながら』を先にみてしまったこともあり、元ネタである『待ちながら』も見なくてはいけないと常々思っていてようやくその機会がやってきた。柄本兄弟によるウラディミール(ディディ)とエストラゴン(ゴゴ)。 不条理演劇の古典中の古典だ。古典に退屈なものなし、と...
様々な役者グループとともに何度も上演されて、早くも古典といっていいんじゃないかと思える作品だが、ぼくは初見。今年創設60周年を迎える新劇界の老舗青年座とのコラボ上演だ。 人間の歩くという行為にスポットライトをあて、ある平凡な女性の一生をおいかける。牧歌的で幸福な子供時代、上京と就職...
仲のいい同い年の男4人のたどる人生の軌跡を青春時代から死まで追いかけてゆく。山田は新卒入社した金融系の会社をドロップアウトしたあとAmazon的な会社に入社し、一生独身のまま過ごす。フリーターの森田は妻がでていったあと職場の後輩とつきあうが、妻が戻ってきて、三角関係に。やがて関係...