カタルシツ『語る室』

語る室

イキウメ別館ということだが、ほぼほぼイキウメそのままの舞台だった。もちろんそれが悪いということは全くなくすごくよかったのだが、だったらイキウメでいいじゃないかと思ったのも事実だ。

ある地方都市で幼稚園児一人と送迎バスの運転手が跡形もなく失踪した事件から5年。関係者は平穏な日常を取り戻しつつあった。そんな中事件に興味をもつ霊媒師を名乗る男が東京からやってくる……。

巧みな伏線の配置とその解決のさせ方が素晴らしい。たわいのない笑いに溢れたあるシーンがリフレインされ隠されたシリアスな意味が明らかになる。

霊媒師の、自分の仕事は蓄積された人々の記憶にアクセスしそこから聞きたい声を選り分けることだという世界観はおもしろい。彼は最初インチキっぽいのだけど、最後はただ一人起きている現象を理解している人間だということが明らかになる。

登場人物に皆好感が持てるし、見た後気持ちよくなれる舞台だった。

作・演出:前川知大/東京芸術劇場シアターイースト/指定席4500円/2015-10-03 18:00/★★★

出演:浜田信也、安井順平、盛隆二、大窪人衛、木下あかり、板垣雄亮、中嶋朋子