M&Oplaysプロデュース『水の戯れ』

16年前の初演は高熱をだしながらみた。芝居の内容はたいていしばらくたつと忘れてしまうのだが、この作品はまだ鮮明に覚えている。 ...

青年団リンク 玉田企画『宇宙のこども』

大学のサークルの仲間のひとりが卒業とともに故郷に帰るので、その送別会として温泉旅行にきた男女5人。そこはサークルのリーダー格の男加藤の実家の温泉旅館だ。加藤の姉がきりもりするスナックには加藤の同級生たちが働いている。同時多発的に盛り上がる何組かの恋模様……。 ...

フェスティバル/トーキョー14『透明な隣人 〜8-エイトによせて〜』

同性カップル主軸の群像劇だ。人間関係を整理すると、まずメインの同性カップルのさち子と祥子。さち子は元ヘテロで別れた夫との間に娘灯がいる。過食症になった灯をさち子がひきとることになり、ふたりの間に波風が生じる。彼らの下の世代の同性カップル夏来と珠美はさらりと描かれるだけ。珠美が勤める会社のデリカシーがない先輩社員玉田は人間関係のハブの役割を果たしている。やはり同量の芽依子を友人の原口に紹介するが、原口は実はゲイで片思いの男性ぽんちゃんがいる。本多はヘテロで自分の家を避難所として利用している永未に好意をもっているがそれを言い出せない。永未はライターで祥子たちを取材する。ほかに、芽依子の妹七菜とバーのマスター風太。 ...

ミクニヤナイハラプロジェクト『桜の園』

まず構成に度肝をぬかれる。前半と後半にわかれていて、前半は屋外3箇所で上演されるパフォーマンスのうち好きなものを選んで観ろといわれる。会場は元学校で、屋外というのは校庭のことなのだが、倉庫の上、体育館のバルコニー、中央のモニュメント的なものの前の3箇所に役者たちがいる。この三角形の中で観客は自由にポジションを決めて立ったままきくというスタイルだ。距離的にはほかのグループの声も一応届くことは届くくらいの感じだ。けっこう繰り返しが多いパフォーマンスなので、今この瞬間にほかのグループではもっと面白いことをやっているんじゃないかという疑念がかざして、途中何度か移動してしまった。どれをみたからといって、その先のストーリーがわからなくなるとかまったくないので、安心して好きなものをみればいいと思う。 ...

ハイバイ『霊感少女ヒドミ』

独立した作品としての初演だった前回公演からキャストや映像を一新してのほぼ2年ぶりの再演。まだ記憶がそれほど風化してないはずなのに見にいったのは、前回冒頭10分を見逃してしまったからだ。実際はけっこう記憶の風化も甚だしかった。 ヒドミの部屋には悲惨な最期を遂げて成仏できずゾンビみたいになっている霊、三郎と虹郎が住みついている。三郎はヒドミのことが好きで、ゾンビは人間から愛されると人間になることができるときいてなお一層熱意をもやす。あこがれの男性ヨシヒロを部屋に連れてきたヒドミは、彼ら2人に隠れているよう言う。ところがヒドミの部屋で下着を盗んだり傍若無人に振る舞うヨシヒロをみた三郎は……。 ...

ペンギンプルペイルパイルズ

再演はスキップしたのでなんと2年半ぶりのペンギン観劇。 左右の足のサイズが3cm違って、それぞれ大きい方の足が右と左で逆なため靴を買いにいくときだけ一緒に行動する女の子真知と理々子が主軸の物語。高校生の二人が真知の父親と三人で遠くの靴屋を探すプチ冒険譚と、40年前の凄惨な殺人事件、その事件を追いかけている学生、その学生がよくみる巨人の夢、その夢の登場人物の男性が真知の婚約者として家に訪ねてくるちょっと未来、真知と理々子が迷い込む冥界の入口、理々子の小学生時代に言えなかったホントウのこと、など時空をまたにかけてシュールにポップに舞台は展開してゆく。まさにペンギンらしい真骨頂の舞台。ただ欲を言うなら、もっとシュールにポップにはじけてもいい。最後小さくまとめすぎた感はある。 ...

地点『光のない。』

ハプニング的にみにいくことにした舞台。その分情報が足りてなくて(いつものことだが)、昨年みた『光のない。(プロローグ?)』と混同して、その別バージョンだと思っていた。テーマとスタイルは共通しているが別のテキストだった。 ...

青年団+大阪大学ロボット演劇プロジェクト アンドロイド版『変身』

フランス語による上演で日本語字幕付き。 アンドロイド版『三人姉妹』がそうだったように、この舞台も原作を題材としつつもまったく別のテーマの作品に仕上がっている。舞台は2040年の南仏の小都市。社会は長く続く意味のない戦争のため疲弊している。気がかりな夢から覚めたグレゴワール・ザムザ(フランス語名になっている)は巨大な毒虫ではなくアンドロイドになっていたのだ。話すことはできるが、歩いたり食べたりすることはできない。 原作でも一応声を発することはできたものの現実的に家族との意思の疎通は不可能になっていたが、この作品ではふつうに会話をしていてむしろ愛情は深まったように思われる。だから原作とは対極的な4人家族のホームドラマになっていて、その背景にしっかり社会の存在を感じる。家族構成は閉鎖間近の工場で働く労働者階級の父親、難民向けのボランティア活動にいそしむ母親、クレープ屋でバイトする妹。 ...

ヨーロッパ企画『ビルのゲーツ』

ヨーロッパ企画初見。ふざけた雑なタイトルだなと思っていたら、隙なくしっかり作りあげられた上質なコメディーで驚いた。タイトルも雑じゃなかった。第一印象は劇団所属の役者の人がそろって役者というより芸人ぽいということだ。 ...

『小指の思い出』

30年前の野田秀樹の名作戯曲をマームとジムシーの藤田貴大が演出。 今回はかなり苦言が多くなってしまう。 まず、ポストパフォーマンストークでゲストの篠山紀信さんもいっていたがマイクを通した役者の声が著しく聞き取りずらかった。これは、この舞台の「難解さ」に一役買っていたと思う。あまりにわからない部分が多かったので、逆に気になってしまって終演後に戯曲を買い求めた。一気に読んでいろいろなことがわかった。確かに元の戯曲も難解なのは間違いない。主役は舞台上の特定の人物ではなく言葉と概念だ。それらが洒落や連想という形で自在に展開して物語を練り上げてゆく。オリジナルの舞台をみたことはないけど、ト書きから想像するに野田秀樹自身の演出ならちゃんとカタルシスが味わえて難解という印象を与えなかったのではないか。 ...

ナイロン100℃『社長吸血鬼』

2年ぶりの新作公演。まさにナイロンらしい、シュールでナンセンスでブラックなコメディーだった。 おそらく一昔前の景気がよく携帯電話がなかった時代。ある会社の屋上が舞台。ランチタイムのほのぼのした会話で幕を開けるが、社長が3ヶ月失踪中であること、犯罪すれすれの業務内容、社員ひとりひとりのダークな側面などが徐々に明らかになってゆき、「よい探偵」と名乗るねじがゆるんだ男がもろもろの事件を捜査する。他方、かつてこの会社がまともだった時代のかつての社員たちが本人たちにもわからない理由で屋上に集まる。彼らは実は失踪中の社長の意識がうんだフィクショナルな存在だったのだ……。 ...

サンプル『ファーム』

遺伝子操作で生まれたきたオレンジという10歳の少年。操作のミスで成長が速くなってしまいもう外見も思考も大人だ。それをいかして臓器細胞を身体に移植して成長させる「ファーム」という役割を引き受けている。彼を中心に、科学者で家庭を放棄した父親、離婚しようとする母親、そのパート先のスーパーの店長、店長がはまっている自己啓発系バーのママ、オレンジに死んだ犬の目をファームしている老女などおかしな人間模様が描かれる。 ...

葛川思潮社『背信』

おお、メロドラマだ。いろいろ演劇をみてきたけど、演劇はメロドラマにはじまり、メロドラマに終わるんじゃないか。最近そんな気がしている。メロドラマというのはコンテンツというよりメディアなのだ。最小限の背景説明でその上にいろいろなものをのせられる。 ...

アロッタファジャイナ『安部公房の冒険』

安部公房という名前をきいて、その作品世界からの引用をちりばめたシュールな作品をちょっと期待していたが、彼の後半生にリアルに焦点を当てた作品だった。おそらくは2013年に出版された俳優山口果林さんの回想記がベースになっているのではないだろうか。彼女をモデルにしたとおぼしきあかねという若手女優と安部公房、そして彼の妻で舞台美術家の真知の間の三角関係がひとつの軸だ。 ...

ままごと『わたしの星』

英語にすると名作『わが星』と同じになってしまうが、その変奏曲だ。使われている音楽と宇宙と人間というテーマは共通で、出演者全員現役高校生(一人をのぞいて女子)、スタッフにも高校生参加というコンセプトで作られた舞台だ。 地球が高温化で住めなくなりつつあり、人類が火星に移住する未来。地球に残った数名の高校生たちが文化祭の出し物の練習をしているというシチュエーション。そこにかぶさる別れと出会い。 ...

劇団東京乾電池 ET×2『ゴドーを待ちながら』

いとうせいこう作の『ゴドーは待たれながら』を先にみてしまったこともあり、元ネタである『待ちながら』も見なくてはいけないと常々思っていてようやくその機会がやってきた。柄本兄弟によるウラディミール(ディディ)とエストラゴン(ゴゴ)。 不条理演劇の古典中の古典だ。古典に退屈なものなし、という自作の格言の通り、二人の男がゴドーを待っていて結局ゴドーはやってこない(ネタバレ)というシンプルなストーリーなのにまったく退屈せずスリリングでさえあった。この戯曲が書かれたのは第二次大戦終結後数年後。ゴドーは明らかにゴッド(神)の象徴であることは間違いないとしても、ベケットがそれで何を表現しようとしたのか、こうやって上演をみてみてもよくわからない。 ...

劇団青年座『あゆみ』

様々な役者グループとともに何度も上演されて、早くも古典といっていいんじゃないかと思える作品だが、ぼくは初見。今年創設60周年を迎える新劇界の老舗青年座とのコラボ上演だ。 ...

ハイバイ『おとこたち』

仲のいい同い年の男4人のたどる人生の軌跡を青春時代から死まで追いかけてゆく。山田は新卒入社した金融系の会社をドロップアウトしたあとAmazon的な会社に入社し、一生独身のまま過ごす。フリーターの森田は妻がでていったあと職場の後輩とつきあうが、妻が戻ってきて、三角関係に。やがて関係がばれてのっぴきならなくなる。津村はタレントとして活躍するが、酒で失敗が続き、新興宗教に入信する。鈴木は製薬会社の営業としてばりばり働き、一見幸福そうな家庭を築く。そして、それぞれの上に訪れる老いと死の影……。 ...

『十九歳のジェイコブ』

中上健次の小説をサンプルの松井周が脚色し維新派の松本雄吉が演出するという異色のコラボレーション。 日本人なのになぜかジェイコブという名前の青年がドラッグ、セックスにおぼれ無軌道に毎日を過ごしている。ジャズ喫茶でつるむ友人ユキは財閥の御曹司でありながら共産主義に傾倒し、一族が経営する会社のビルの爆破と家族の皆殺しを企てる。ジェイコブ自身も根源的な殺戮の衝動をその身のうちに抱えていた。故郷の街の元雇い主、ジェイコブの母の異母兄ともその母にジェイコブを生ませたとも噂される高木という男を家族もろとも殺すという思いが脳裏を離れないのだ。その男は今はシャブ中毒になり、家族もろとも妙な新興宗教にはまっていた……。 ...

FUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル』

個人的にローチケはトラブルばかりで鬼門なのだが、今回もあろうことかチケットの引き替えに失敗した(まあ、直前に引き替えようとするほうが悪いのだが)。スタッフの方の厚意でどうにか潜り込ませてもらえた。 ...