青年団リンク ホエイ『雲の脂』

雲の脂

過疎が進んだ地域の海に面した神社が舞台。氏子の減少で、最近では捨てるに捨てられない不要になった宗教的な遺物をひきとるサービスをして糊口をしのいでいた。そんなある日海岸に一番近い鳥居が倒壊し、それから徐々に境内が崩落していき、白鳥たちが血を吐いて死ぬなどということが起きる。まるでこの神社の終わりを告げるかのように……。

地方の神社の話だが、どこか日本の姿と重ね合わせられている。東京からみるとこういう形の衰退は抽象的な想像の中の出来事だけど、地方では切羽詰まった現実なのかもしれない。

世界観は昔の松田正隆に似ているような気もするが、滅びの美学的なところはなくて、俳優の演出のつけ方に土着的な野太さを感じた。ベースにあるのは笑いだ。特にブライアリー・ロングさん演じる外国人巫女ブライはほんとうにおかしかった。

ひとつ不可解なのが、途中登場人物たちのものの見え方が歪んでお互いにものすごく大きく見えたり小さく見えたりするシーンだ。外国人のブライはこの歪みの影響をまったく受けなかった。これは何を意味するんだろう?不思議な興味深いシーンだった。

プロデュース:河村竜也、作・演出:山田百次/アトリエ春風舎/自由席2800円/2015-02-11 18:00/★★

出演:山村崇子、大竹直、菊池佳南、ブライアリー・ロング、河村竜也、大塚洋、斉藤祐一、赤刎千久子