町田康『宇治拾遺物語』
現代語訳というよりかは音楽でいうところのカバーというのが近そうだ。
古典の説話集『宇治拾遺物語』のなかから33編選んで、ストーリーは細部を含めて同一のまま語り口をカタカナ言葉や関西弁が入り混じる、いかにも町田康調のはっちゃけた感じに置き換えている。たとえば『奇怪な鬼に瘤を除去される』というこぶとり爺さんの物語では以下のような感じだ。
踊りまくったお爺さんがフィニッシュのポーズを決めて一礼したとき、全員が立ち上がって手を拍ち、ブラボウを叫んだ。
上にあげたこぶとり爺さんや雀の恩返しなだ有名な話も収録されてるが、全体的にエログロ、権威や宗教への嘲笑など非常に現代的な作品が多くて町田康の文体と完全にマッチしていた。けっこうそういうのは普遍的なのかもしれない。
★★★