ヨーロッパ企画『遊星ブンボーグの接近』
SFっぽいタイトルでテーマは文房具というから筒井康隆の虚構船団的なものを想像していたら全然違った。
近くの遊星から地球に観光客にきている体長数センチの宇宙人ツアー客の一行。彼らが立ち寄ったのは平凡なOLが住む一室。テーブルの裏には彼らの身体くらいの大きさの文房具が置かれている。彼らの星では電子化が進んでいるため文房具は珍しいのだ。彼らが部屋を探検していると、予想外なことにその部屋の住人であるOLが帰宅する。あわてて隠れようとする彼らだったが……。
小道具ではなく大道具になっている文房具、ホッチキス、カッター、セロハンテープがすばらしい。ちゃんと可動部も動くのだ。文房具に対する愛とマニアックなこだわりに溢れた舞台だった。
ヨーロッパ企画をみるのはまだ2回目だが今回が34回目の公演らしい。京都が本拠地とのこと。同じ京都の劇団では地点を知っているけどまったくタイプが違う。俳優陣にくせがあるおもしろい人が多いが、その力に頼り切らず、各回ごとのおたく的テーマが主演的な扱いになるのが特長だ。ふだんぼくがみにいく演劇的な演劇とは客層がまったくちがうのがおもしろい。
作・演出:上田誠/本多劇場/指定席4500円/2015-09-26 13:00/★★
出演:石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、西村直子、本多力、岡嶋秀昭、中西ちさと、吉川莉早、川岡大次郎