ヨーロッパ企画『出てこようとしてるトロンプルイユ』

出てこようとしてるトロンプルイユ

なんかこういうリアルと夢や虚構が入れ子になって入り乱れる作品みたことあると思ったらF・K・ディックだった。ディック(実はけっこう笑えるところあるが)をベタに笑えるようにするとこういう感じかもしれない。

亡くなった画家の部屋を片付けていると、遺された作品のほとんどはトロンプルイユ=だまし絵的な作品だった。だまされるわけないと笑うみんなだが、シートをかけられた巨大な作品からシートを取り去ると……。

クライマックスはループのところだ。単なるループじゃなくどんどんメタへ階層がずれてゆく再帰的なループなのだ。これをエンターテインメントの芝居でやったのは画期的なことかもしれない。どうやってこのループからぬけるんだろうとワクワクしつつも 、いつまでもぬけてほしくないと思った。そしてまさに絵に描いたようなデウス・エクス・マキナの登場。

作・演出:上田誠/神奈川芸術劇場大スタジオ/指定席4500円/2017-11-17 19:00/★★★

出演:本多力、諏訪雅、石田剛太、中川晴樹、木下出、金丸慎太郎、川面千晶、菅原永二、永野宗典、土佐和成、西村直子、酒井善史、角田貴志