ヨーロッパ企画『あんなに優しかったゴーレム』

あんなに優しかったゴーレム

コロナ以降観劇の回数がガクンと落ちた中、1年に2回ヨーロッパ企画をみるとは、なかなか奇遇だ。

あるプロ野球選手の半生記のような番組の撮影のため彼の故郷にやってきたテレビクルーたち。町の人たちは、ゴーレムという巨大な土の像が意識を持って動き回りいろいろ人々のためになることをしているということを信じていた。クルーたちは最初笑い飛ばすが、調べるうちだんだんそれを信じざるをえなくなっていく。

前作『九十九龍城』と比較するとこぢんまりした物語だ。ゴーレムという舞台上では動かないししゃべらないキャラクターにエピソードを積み重ねていかに実在性を与えるかというのが見どころだ。

ひとつ残った疑問は、ラスト近くでゴーレムが人々の希望をかなえようとするあまりおこなったかもしれないダークな行為が、宙づりのままでクライマックスになだれ込んでしまった。あれはどうなるんだろう。

作・演出:上田誠/関内ホール大ホール/S席6000円/2022-10-22 18:00/★★★

出演:石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、西村直子。藤谷理子、金丸慎太郎、亀島一徳