岩松了プロデュース『宅悦とお岩〜四谷怪談のそのシーンのために〜』

宅悦とお岩

前作のチェーホフ『カモメ』を上演しようとする若者たちの姿を描いた群像劇から3年ぶりの岩松了セルフプロデュース公演。思いおこせば前回は地震の直後で不透明感漂う中での観劇だった。

今回も演劇を上演しようとしているというシチュエーションは同じ。題材は四谷怪談。その中から毒で顔がただれたお岩に対して伊右衛門にそそのかされた按摩の宅悦が不義密通をしかける場面にスポットを当て、この異形のカップルの恋愛譚にしたてようとしている。俳優陣は半分くらい入れ替わっているが主要なメンバーは共通。前回主演女優役だった安藤聖さん(役名も同じ)が劇作家になっていて、彼女の目に映るさまざまな異形のカップルたちが創作のよすがとなる。

前作は登場人物の一人の自殺をふり返るシリアスな劇だったけど、今回はコミカルさが特徴的だった。全編にやにやし通し。

作・演出:岩松了/下北沢駅前劇場/指定席3500円/2013-03-08 19:00/★★★

出演:安藤聖、梅宮万紗子、尾上寛之、亀田梨紗、児玉拓郎、小林竜樹、駒木根隆介、清水優、高橋ひろ無、滝沢恵、永岡佑、橋本一郎、藤木修、裴ジョンミン、吉牟田眞奈