岩松了プロデュース『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』

三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?

岩松了が若手俳優たちとタッグを組む公演もこれで3回目。俳優陣は総入れ替えだが、自分と等身大の俳優の役を自分の芸名そのままで演じ、これからひとつの演劇作品を上演するための稽古中、というフォーマットは今回も共通だ。

彼らが上演しようとしている劇はチェーホフの『三人姉妹』だ。ただし、オリジナルそのままではなく、本来一度も登場しないプロトポーポフ(三人姉妹の弟アンドレイの上司にして妻ナターシャの情人)に役が振られたり、決闘で死ぬはずの三女イリーナの婚約者トゥーゼンバフは実は『三人姉妹』の世界から追放されただけで生きているという設定にされたりする。そしていちばん花形の次女マーシャは登場しない。不確定要素が多くて、俳優たちの間には疑心暗鬼と相互不信が広がっている。

舞台となっているのは終電後の河川敷だ。なんとそんな時間にそんな場所で稽古をしようとしているのだ。俳優たちの服はボロボロになり顔は薄汚れてゆく。そして演出家はこない。そして最後のシーン。『三人姉妹』のはずがまったく別の有名な芝居に変容していたことに気がつかされる。その芝居がなんなのかはネタバレになるのでここには書かない。

若手俳優ということで初舞台の人もいたみたいだが、みなそれぞれ個性的で力量を感じた。特にナターシャを演じる設定の小野花梨さんがすごい。彼女が演じるナターシャを実際にみてみたくなった。

作・演出:岩松了/駅前劇場/指定席4200円/2018-01-27 18:30/★★★★

出演:池本啓太、井端珠里、大友律、小野花梨、片山友希、川村紗也、椎名琴音、髙橋里恩、田崎実理、坂東龍汰、福田周平、森優作、柳英里紗、山岸健太