ホエイ『喫茶ティファニー』
まったく予備知識なしに見たので地方の、時代から取り残された喫茶店の話かと思ったら、舞台はどうやら川崎。マルチの勧誘シーンがでてきて一瞬今回はそっちの話かと思わせるが、実は日本に昔からはびこってかえって最近また復活してさえいる民族差別がテーマなのだった。川崎臨海部あたりの在日の人たちが多い地区の街並が浮かんできた。
差別の描き方はちょっと紋切り型すぎる感じがしたが、でも実際現代でもこの通りの紋切り型が存在しているのは間違いない。作中でも描かれるけど、学校は「ふつうの日本人」という幻想を培養する装置になっていて、卒業したあともその幻想を保ち続ける人たちが少なからずいるのだ。
そういう状況が外国人労働者の増加でかわりつつある。観劇のあと入ったコンビニでもスタッフはみな外国人だった。彼らをちゃんと受け入れられるかどうかに日本に将来はかかっている、と個人的には思う。
ロイ君がいうキリグというフィリピンの言葉に心動かされた。お腹の中に蝶が舞っている気分ということらしい。母親がそれを感じたのだったら仕方がないと自分の存在を受け入れる。
あと、ぐるぐるまわる黄色いランプの存在感がいい。
作・演出:山田百次、プロデュース:河村竜也/こまばアゴラ劇場/自由席3500円/2019-04-20 18:00/★★
出演:尾倉ケント、斉藤祐一、中村真沙海、森谷ふみ、山村崇子、吉田庸、河村竜也、山田百次