ハイバイ『リサイクルショップ『KOBITO』』
作・演出:岩井秀人/こまばアゴラ劇場/自由席2800円/2009-06-06 19:00/★★
出演:金子岳憲、有川マコト、岩瀬亮、小熊ヒデジ、斉藤じゅんこ、坂口辰平、永井若葉、岩井秀人
事前情報も先入観もなくはじめてのハイバイ。
リサイクルショップではたらく中年のおばさん(演じているのは男)たちが、その中の一人の、引きこもり気味の娘のために、営業中の店内でお芝居をみせる。その芝居というのが未来の東京を舞台にしたSF巨編(手塚治虫の『火の鳥』がベースらしい)で、その強引なシチュエーション、男がおばさんを演じてそれがまた若い男女を演じるという倒錯、客としてやってきた女性が実はプロの演出家でその場で演出をつけはじめるというエピソードがあったりして、けっこう抱腹絶倒だった。
ところがこれは前半というか、はじまってから1/3くらいで、とことん自由ななんでもあり的な高揚感が最大限に高まったところで、突然おばさんたち二人のリアルな半生記がせつせつと綴られる。いつ笑わせてくれるのかな、次の話がはじまるのかな、と思ってずっと待っていたが、なんとこれが最後まで続いたのだった。
前夜のアフタートークで五反田団前田司郎さんから、前半、後半どちらかを切った方がいいといわれたそうだが、完全に同意だ。前半と後半はほとんど別の芝居をみているようだった。昭和の頃、テレビで流された素人の半生を再現するドラマみたいだったけど、後半も展開のさせ方次第では、十分演劇的なパワーをもてたような気がする。
実は、前半の『火の鳥』を最終的に短くきりつめたそうだが、救いは、今日のアフターなんとか(毎回終演後に何らかのパフォーマンスが行われる)で、その部分の完全版を演じてくれたことだ。やはり前半だけみたかった。