野田地図『ロープ』
作・演出:野田秀樹/シアターコクーン/S席9500円/2006-12-30 19:00/★★★
出演:宮沢りえ、藤原竜也、渡辺えり子、橋本じゅん、宇梶剛士、三宅弘城、松村武、中村まこと、明星真由美、明樂哲典、AKIRA、野田秀樹、(梅原晶太、岡慶悟、奥山隆、亀岡孝洋、小島啓寿、沢井正棋、芹澤セリコ、多賀建祐、高木珠里、竹岡英征、野笹由紀子、萩原誠人、長谷部洋子、細川洋平、村上寿子)
言葉と言葉の音の類似性をいかしたセリフ回し、つまりはダジャレということだけど、ダジャレで人を感動させることができるのは、世の中広しといえど野田秀樹くらいだろう。今回は、日本語で時制を示すある言葉と、ある地名が共鳴する。ベトナム戦争で米軍による虐殺が行なわれた村だ。背景に浮かび上がっているリストが、そこで殺された人の名前と年齢だということに気がついて慄然とする。
あるマイナーなプロレス団体のリングの上、ロープの中で繰り広げる「戦い」から象徴的に戦争というものを描き出そうとした作品。善悪という構図を批判しながらも結局は善悪という観点からの告発になっていて、ちょっと単純化しすぎだなと思うところもあったけど、でも素直に心を動かされる舞台だった。虐殺の描写を演じるのでなく、あくまで言葉で冷徹に表現する演出、しかもそれを宮沢りえに語らせたところがなにより効果的だった。