シティボーイズミックスPRESENTS 『マンドラゴラの降る沼』

作:細川徹、丸二祐亮、平元建太、シティボーイズ、中村有志、いとうせいこう、演出:細川徹/池上本門寺/指7000円/2006-04-20 19:30/★★★

出演:大竹まこと、きたろう、斉木しげる、中村有志、いとうせいこう、銀粉蝶

急な階段を息を切らして上り、広大で暗い境内をおずおずと進んでいくと、突然たむろする人影があらわれ、その向こうに夜空を切り裂くような白いテントがそびえているのが見えた。こんなところで芝居をみるのははじめてだが、もともと寺社は物見遊山の場所でもあり伝統に則しているといえるのかもしれない。

幕が開く前に「いきいき推進委員会」の委員長から挨拶があるというからネタの一部かと思ったら、僧衣をまとった本門寺の関係者の人で、殺伐とした世の中に潤いを与える活動をしていて、本門寺の境内を貸したのもその一環だというようなことをいっていた。ゲネプロから一日も欠かさず見ているという言葉の、「ゲネプロ」で笑いがおきる。

幕が開くと、崖上から下に転落している最中の5人が、なぜか時間がとまり、助かるための相談をしている。義手だったり、パニック症候群だったり、カマキリの卵を手に持っていたりして、絶望的な状況はいかんともしがたい。そうこうしているうちに時間が再び動く……。というコントを皮切りに次から次へとおなかをかかえて笑える珠玉のコントが続いた。いとうせいこうは6年ぶりの参加ということだが、シティボーイズに中村有志、いとうせいこうの二人が加わるとそれぞれの個性がひきたって俄然おもしろくなる。

アングラ芝居の一場面は、テント芝居という形態に対するオマージュなのだろう。この場面は開幕後すぐくらいのコントで、言葉で情景を説明されていたのだが、それを実際に目の当たりにして、妙な既視感やなつかしさを感じて、おもしろかった。

最後は再び崖のコント。毎日観ているといういきいき推進委員会の人が、この芝居には、ただ笑わせるだけでなく、いろいろな示唆やメッセージがあるといっていたが、この場面は特にそうで、生というのは地面に落ちるまでの一瞬の間のことで、落ちたらどうしようなんてことは考えるのはやめて、その一瞬を楽しまなくてはいけないのだ。