シティボーイズミックス PRESENTS 『西瓜割の棒、あなたたちの春に、桜の下ではじめる準備を』

suikawari

宮沢章夫さんとシティボーイズの組み合わせに強烈な懐かしさを感じてしまったが、ラジカルガジベリンバシステムを生はもちろん映像でもみたことがないので、その懐かしさになんの根拠もないのだった。しかし、本物であれ偽物であれ、実際にこの目でみなくてはすまないことには変わりがない。

期待に違わずおもしろかった。久しぶりに腹筋を使った気がする。そこにあったのは80年代的笑いだ。シュールなテイストそして決して放送メディアにはのせることのできない毒のあるブラックな笑い。モンティ・パイソン直系の笑いといっていいかもしれない。喫茶店に入ってきた障害者の人に戸惑うまわりの「善良な」客たちの心の声とか、自殺が一番多い秋田県七輪村などなど。確固として立ちはだかっているがゆえに、笑いの対象にすることができたたてまえや良識というものが、身も蓋もないホンネという名の悪意によって揺るがされている現在、こういう笑いを腹の底から笑うのもだんだん難しくなってきているが、それでもおかしいものはおかしい。

シティボーイズのライブは本編と同じくらいカーテンコールの挨拶が楽しい。今日も東京公演の千秋楽ということもあって宮沢さんも登場していて、とてもお得感があった。

次はぜひシティボーイズの円熟期の作・演出を担当していた三木聡さんを迎えてほしい。あの時代の作品をときおりビデオで見返すが、やっぱり際立ってすばらしい。

作・演出:宮沢章夫/世田谷パブリックシアター/A席6000円/2013-04-13 13:00/★★

出演:大竹まこと、きたろう、斉木しげる、中村有志、いとうせいこう、戌井昭人、笠木泉、上村聡、今野裕一郎、山本健介