早稲田小劇場どらま館×遊園地再生事業団『14歳の国』

14歳の国

20年前の初演もみていた。うまく消化できなくて、そのときまだ芝居を見始めたばかりだったので、はじめてのうまく消化できなかった芝居だったかもしれない。それだからこそいまだに印象に残っている。

今回あらためてみて、かなりそのときのもやもやが晴れた気がする。消化できたというのではなく消化する必要がないものを消化しようとしていたのだ。

前回みた直後に気がついていたが、まず、学校という場からどうしても管理vs自由的なイデオロギーの戦いを想定してしまうがそれを頭から追い払う必要がある。これは「14歳」という記号に恐怖と好奇心を突き動かされた大人たちの物語だ。この教室=「14歳の国」というのはこの恐怖と好奇心から生み出された世界なのだ。最後に教師5(サカイ)が「これが見たかったんですよね?」と確認するが、尋ねるまでもなく彼らはみな見たかったのだ。

前回の上演は男ばかりだったので、ホモソーシャルな集団の中にうまれた共通の欲望というリアリティがあったが、今回ほぼ女性キャストになったことで、それが必ずしも不可欠ではないことがわかった。そこには別のリアリティが存在しうる。

「あとで話しましょう」的なセリフが何度も何度も繰り返される。これは生徒がもどってくるまでの時間的切迫をあらわしているだけでなく、考えたり分析することに対する禁忌を意味している気がした。おそらく彼らはあとで職員室に戻っても話すことはないだろう。

初回上演のときのキャストが、今みるとあて書きといっていいくらいセリフにはまっていた感じがする。教師1(サイトウ)を演じていた原金太郎さん(たまたま見に来ていらっしゃっていた)が今回は谷川清美さんだったが、女性でありふだんの印象も重なる部分がまったくないにもかかわらず、谷川さんが原さんにしか見えなかった。教師2(サタケ)は初回温水洋一さんだったが、いじられキャラである必要があるので、今回の善積元さんは適役だった。役者の性別、ポジションの変更にともなってかなりセリフがいじられているが、直接は関係ない、ソーセージ→投書箱、サバ→カキという変更が気になった。なぜ変えたのか気になる。

作・演出:宮沢章夫/早稲田小劇場どらま館/自由席3800円/2018-09-15 19:00/★★★

出演:谷川清美、善積元、笠木泉、大場みなみ、踊り子あり