Kera・Map『砂の上の植物群』

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ/シアターアプル/指8000円/2005-05-04 19:00/★★

出演:常盤貴子、筒井道隆、西尾まり、猫背椿、池谷のぶえ、赤堀雅秋、つぐみ、山本浩司、喜安浩平、温水洋一、渡辺いっけい

墜落した飛行機から奇跡的に脱出した日本人ばかり数人。流れ着いた土地は内戦の真っ最中で彼らは廃屋にかくまわれる。ところがある日を境に、彼らの世話をしてくれるはずの日本人ジャーナリスト、コギソは姿をみせなくなり、代わりに友人だというミムラという男が現れる。彼の口から、今日本は地震とテロでひどいことになっていて連絡がとれる状況ではないということを知らされる。こうして終わりのみえない隠遁生活がはじまる。

演劇というのは互いに拮抗する2つの力のバランスの上に成り立っている。物語を拡散させる力とエンディングへと収束させる力だ。拡散させる力が強くて収束させる力が弱い場合、一気に引き込まれるのだが、それは長続きせず終盤になるにしたがってだれてしまう。今回も休憩をはさんで前半はすばらしかったが、後半は困ったときのガンファイトになってしまっていた。「一人殺すのも二人殺すのも同じだ」というのは犯罪者だけでなく観客もいいたくなる言葉で、安売りのバーゲンみたいな殺戮は勘弁してほしい。殺すならせいぜい一人か二人。それもできるだけに丁寧に葬ってあげてほしい。

間近でみる常盤貴子は肉眼でみえるくらいのオーラを発していたし、渡辺いっけいは卑屈な男を演じさせたら天下一品だと思う。