1000円前後で気軽に読めるスピノザの入門書がずっとなかった(G.ドゥルーズ『スピノザ 実践の哲学』はさすがにちょっと難解だ)。確かに哲学史の流れでいえばスピノザは傍流だし、その後ほとんど発展しているようには見えないけど、それはそのままで完成しているからのような気がする。
満を持して出た本書は、わかりやすいし、かといって初心者向けに説明をはしょったところもなく、スピノザの世界に入っていくためのとっかかりを十分に示せていると思う。
自分自身と世界を肯定し、より完全な存在になろうとする欲望にしたがうこと。とても静かなんだけどまぶしいくらい明るい。スピノザの世界はそんな世界だ。
★★★★