ナイロン100℃『社長吸血鬼』

社長吸血鬼

2年ぶりの新作公演。まさにナイロンらしい、シュールでナンセンスでブラックなコメディーだった。

おそらく一昔前の景気がよく携帯電話がなかった時代。ある会社の屋上が舞台。ランチタイムのほのぼのした会話で幕を開けるが、社長が3ヶ月失踪中であること、犯罪すれすれの業務内容、社員ひとりひとりのダークな側面などが徐々に明らかになってゆき、「よい探偵」と名乗るねじがゆるんだ男がもろもろの事件を捜査する。他方、かつてこの会社がまともだった時代のかつての社員たちが本人たちにもわからない理由で屋上に集まる。彼らは実は失踪中の社長の意識がうんだフィクショナルな存在だったのだ……。

すばらしい笑いの洪水。ただただ笑い転げた。

席が遠くて顔がみえず、女性社員ミミを演じていたのが誰だかわからなかったが、その堂々とした演技や声の張りに今は亡き深浦加奈子さんを彷彿としたが(といっても彼女の舞台を一度もみたことはないのだが)、鈴木杏だと知って驚いた。しばらく見ない間に成長したな。

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ/本多劇場/指定席6900円/2014-09-27 19:00/★★★

出演:三宅弘城、大倉孝二、みのすけ、喜安浩平、犬山イヌコ、峯村リエ、村岡希美、皆戸麻衣、水野小論、猪俣三四郎、小園茉奈、大石将弘、鈴木杏、槙尾ユウスケ、山内圭哉