ナイロン100℃『パン屋文六の思案 〜続・岸田國士一幕劇コレクション〜』
岸田國士の一幕劇を数編とりまぜて上演する企画の第二弾。(ついこの間のような気がするが、第一弾はもう七年も前だった)。今回も七篇の小品を巧みにシャッフルして構成している。『恋愛恐怖病』の恋愛や結婚をおそれて友情を守ろうとする男女の関係は現代的だし、『麺麭屋文六の思案』でほうき星が地球に衝突すると騒ぐのはSFみたいだった。前作同様カラフルでモダンな和服が美しい。昭和初期の言葉遣いが耳に小気味いい。
役者陣では特に藤田秀世さんがよかった。『恋愛恐怖病』の恋敵の男、『長閑なる反目』の人のいい大家という大局的な役を見事に演じていた。
追記:観客ひとりひとりにニオイシートという厚紙が配られて、その中に書かれた1〜4の数字を擦るとニオイがするようになっていた。上演中適切なタイミングでこすってニオイをかぐよう指示が出るのだ。ニオイつき演劇、ある意味画期的……。
作:岸田國士、潤色・構成・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ/青山円形劇場/指定席6900円/2014-04-29 18:30/★★
出演:みのすけ、松永玲子、村岡希美、長田奈麻、新谷真弓、安澤千草、廣川三憲、藤田秀世、眼鏡太郎、猪股三四郎、水野小論、伊与勢我無、菊池明明、森田甘路、木乃江祐希、萩原聖人、緒川たまき、植本潤、小野ゆり子、志賀廣太郎