パルコ・プロデュース『クレイジーハニー』

パルコ・プロデュース『クレイジーハニー』

作・演出:本谷有希子/パルコ劇場/指定席7350円/2011-08-27 19:00/★

出演:長澤まさみ、成河(ソンハ)、安藤玉恵、吉本菜穂子、リリー・フランキー、中野麻衣、坂口辰平、太田信吾、札内幸太、池田大、中泰雅、北川麗、鉢嶺杏奈、加藤諒、清水葉月

落ちぶれた携帯小説家ひろみ(長澤まさみ)が告白本を書くために、数少ないコアなファンを集めたイベントを開いた、ある長い夜が舞台。といっても、ラスト10分以外は特に意味がある出来事はおこらない。ひたすらひきのばして薄めたような作品だった。

コアなエッセンスは、ひろみといつも一緒に行動している中年の「おかま」マキ(リリー・フランキー)との共依存的な不思議な関係、そして露悪的に挑発的な言動をくりかえす彼らより実はさらに異形的なファンたちだけど、どちらも類型的な描写に終わってしまったかな。

本谷さんの作品はどこかに自伝的な要素が含まれているものが多いけど、このファンたちへのいらだちは、本谷さん自身の体験に裏打ちされたものなのだろうか。なんとなくそうではないような気がしていて、だからリアリティーが感じられなかったのだろう。

リリー・フランキーはよかった。特にラスト10分の演技は鬼気迫るものがあった。それがみられただけでもよかった。