ナイロン100℃『黒い十人の女 〜version 100℃〜』
オリジナル脚本:和田夏十、上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ/青山円形劇場/指定席6900円/2011-05-28 18:00/★★★
出演:みのすけ、峯村リエ、松永玲子、村岡希美、中越典子、緒川たまき、新谷真弓、安澤千草、皆戸麻衣、植木夏十、菊池明明、奥村佳恵、小林高鹿、藤田秀世、廣川三憲、吉増裕士、眼鏡太郎、小園茉奈、木乃江祐希、白石廿日、水野小論、野部青年、森田甘路
1961年の市川崑監督映画の舞台化。ぼくが映画をみたのは結構最近だったが、細部をほとんど忘れていてラッキー。新鮮な気持ちで楽しめた。かなり自由な脚色だったがもちろん骨格となるストーリーは共通。
テレビ局の敏腕プロデューサー風松吉は妻がいる身でありながら何人もの女性と同時につきあっている。といってもマッチョで男性的なわけじゃなく、逆に柔和で優柔不断な男だ。自分から執着して追い求めるわけじゃなく来るものは拒まずという姿勢なので、つきあう女性の年齢やタイプもさまざまなのだった。
彼の煮え切らない態度に飽き足らなくなった女たちは、彼の妻が経営する飲食店に集まって、彼を糾弾する会を催すことになる。彼は身の危険を感じ、一計をめぐらす。しかしそれで、彼の多忙ながら調和のとれた生活は、一気に崩壊してしまう……。
笑いの部分は完全にナイロン。スタイリッシュな演出も原作の映画のかっこよさをさらにヴァージョンアップした感じでよかった。女性陣の中では本妻を演じた峯村リエさんが持ち前の上背をいかして凛としてかっこよかった。
マッチョさと無縁だった主人公が、すべてを失って思い描くのが、男性性むき出しの妄想というのが、とても皮肉が効いていて、逆に男の哀しさを感じた。