『マレーヒルの幻影』

『マレーヒルの幻影』

作・演出:岩松了/本多劇場/指定席6800円/2009-12-12 19:00/★★

出演:麻生久美子、ARATA、三宅弘城、荒川良々、市川実和子、松重豊、カリン山田、サイラス・望・セスナ、アンドリュー・ウォールナー

『グレート・ギャツビー』を下敷きに、1920年代大恐慌前夜、ニューヨークの日本人社会に舞台を移し、今は不幸な結婚生活を送る女性と、彼女への愛憎入り交じった思いを断ち切れない青年実業家の関係に焦点をあてた作品。

岩松了独特の、自分自身、人から見えている自分の姿、それを見る自分……という無限の鏡像を映し出すような、台詞回しはそのままに、ウェルメイドに仕上げられたメロドラマだった。ある意味文句の付けようがない作品だが、高度にウェルメイドになった岩松了作品は新劇と区別がつかない、という言葉が脳裏に浮かんだりもした。あと、もう少しコメディーリリーフが多くてもよかったかなとも思う。

席が遠くて、表情が確認できなかったのが残念だが、初舞台の麻生久美子とARATAはどちらも好演だったと思う。