『リプリー、あいにくの宇宙ね』

リプリー、あいにくの宇宙ね

リプリーというのはシガニー・ウィーバーが演じた映画『エイリアン』の主人公の名前。まったく予備知識なしで見たが、今回の作品は『エイリアン』へのオマージュを捧げた音楽コメディなのだった。

小惑星の資源探査の帰路、冷凍睡眠から目覚めた乗組員たちは船内に産みつけられた奇妙なたまごを発見する。彼らはパニックになってたまごを破壊しようとする。それはまだはじまりに過ぎず、このあと彼らは宇宙船の破損、宇宙海賊、有機生命を憎悪する機械軍団などありとあらゆる災厄を引き寄せていく……

今回の公演をヨーロッパ企画の公演と勘違いしていたが、劇団員の出演者は3名のみ。ニッポン放送とぴあが主催の公演だった。ひょっとするとそのためにいつものヨーロッパ企画よりストーリーが直線的に感じられたというのはあるかもしれない。かわるがわる起きる災厄がインフレーションしすぎて途中から切迫感がなくなってしまった。

そんななか、途中登場のシシドカフカさんが素晴らしかった。宇宙をさまよう吟遊詩人の役。その役柄が物語の進行に的確な回転を与えてくれたというのもあるけど、彼女自身が発するパワーが圧倒的だった。

作・演出:上田誠/本多劇場/指定席8800円/2025-05-21 14:00/★★

出演: 伊藤万理華、井之脇海、シシド・カフカ、石田剛太、中川晴樹、金丸慎太郎、野口かおる、浦井のりひろ、平井まさあき、槙尾ユウスケ、岩崎う大