ヨーロッパ企画『来てけつかるべき新世界』

来てけつかるべき新世界

タイトルはハクスリーの『すばらしい新世界』のパロディーだが、ここでいう「新世界」は大阪の下町の新世界だ。新世界のさらにはずれにある大阪のおっさんたちが集う串揚げ屋が舞台。なにわの人情喜劇に転進かと思ったが、ちゃんといつものヨーロッパ企画だった。「新世界」にはダブルミーニングがかかっていて、近未来の技術(といってもほぼ今話題の技術の延長線ではあるが)がこの片隅にもやってきて否応なしに変化するさまが描かれている。ドローン、ロボット、人工知能、VR/AR、そして脳のバックアップ(最後のはまだSFの世界にしかないが)。おっさんたちはかなり積極的に新技術を使いこなしていた。

アヴァターとなって群れ飛ぶドローン、炊飯器に宿る知能、ヴァーチャルな恋人、宇宙中をかけまわる意識……。こんな新世界だったら早くきてもらいたい。全編余すところなくおもしろかった。

作・演出:上田誠/本多劇場/指定席4500円/2016-09-18 13:00/★★★

出演:石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、西村直子、本多力、金丸慎太郎、藤谷理子、福田転球