岩松了3本連続公演『隣の男』

作・演出:岩松了/下北沢本多劇場/指5000円(3本セット10000円)/2005-06-25 19:00/★★★★

出演:大森南朋、鈴木砂羽、戸田昌宏、久遠さやか

3本連続公演もいよいよ最後。トリュフォーの『隣の女』へのオマージュかなと思わせるタイトル通り、隣同士に住む男女の特殊な「関係」が主軸になっている。

男(竹田)は一人暮らしで、古びた日本家屋で眼鏡屋を営んでいる。そこに入り浸るようにやってくる隣の夫婦宇野と八千代。竹田と八千代には宇野には秘密の関係がある(それがどういうものなのかは終わり間際で明らかになる)。その関係のやりきれなさから逃れるため、竹田は二階に独身女性の下宿人を置こうとする……。

電球の魔法、リンゴの形をした染み、果たされることのない海に行くという約束、右手の狂気。

初演は竹中直人が竹田の役をやったということだが、それをきいて竹田の人物像がはっきり絞り込まれた気がする。今回竹田を演じた大森南朋もすばらしかったのだが、竹中直人の表現する「屈折」は彼にはないものだなと思った。

たぶん今日だけだと思うが、眼鏡の修理を依頼しにきた客という役で小林薫が一瞬出てきた。さすがに客席がどよめいた。ラッキー。