村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集』ebook

ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集

1995年から2015年にかけて世界のあちこちを旅して書かれた紀行文をまとめた一冊。訪れた場所は、ボストン(1995年、2012年)、アイスランド(2004年)、2つのポートランド(アメリカのメイン州とオレゴン州、2008年)、ギリシャのミコノス島とスペッツェス島(2011年)、ニューヨークのジャズクラブ(2009年)、フィンランド(2013年)、ラオスのルアンプラバン(2014年)、イタリアのトスカナ(2015年)、熊本県(2015年)。タイトルは、ラオスに向かう途中立ち寄ったベトナムで投げかけられた言葉からとられている。

『遠い太鼓』のような、異国のタフな生活を克明、ときに詩的に描いた紀行文学的な作品とは違って、肩の力を抜いて敬体と常体の混ざった非常に柔らかい文体で書かれている。まるでガイドブックでも読んでいるようだ。でも、時折あらわれる奇抜な比喩はやはり村上春樹らしくてニヤリとしてしまう。

北欧やイタリアを差し置いて、一番行ってみたいと思ったのは、意外なことに、熊本の赤崎小学校跡だ。なんと海の上に作られた学校だそうだ。干潮のときにそこから近くの島まで歩ける通路があらわれるとのこと。見てみたい。

カラー写真がたくさんついているし、ちょっと値段も安いので電子書籍版がおすすめ。