ブルース・チャトウィン(芹沢真理子訳)『パタゴニア』

パタゴニアとは、日本からはちょうど地球の裏側、南米大陸の南端に位置する地域を指す。自然が過酷でとにかく風が強い。西の太平洋に面したチリ領は海岸近くまでアンデス山脈が迫り、フィヨルドが発達しところどころ氷河に覆われる気候で、大西洋に面したアルゼンチン領は空気が乾燥し、広大で不毛な平...

イザベラ・バード(時岡敬子訳)『イザベラ・バードの日本紀行』

イザベラ・バードは1831年イングランド生まれの女性冒険家。世界各地を旅行しいくつか旅行記を残しているが、その中のひとつがこの日本を訪れて書かれたものだ。まだ維新から10年後の1878年、元号でいうと明治11年だ。5月21日に船で横浜に上陸してから12月24日に同じく横浜から上船...

村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集』

1995年から2015年にかけて世界のあちこちを旅して書かれた紀行文をまとめた一冊。訪れた場所は、ボストン(1995年、2012年)、アイスランド(2004年)、2つのポートランド(アメリカのメイン州とオレゴン州、2008年)、ギリシャのミコノス島とスペッツェス島(2011年)、...

四方田犬彦『モロッコ流謫』

夏になると遠くの知らない町にいくかわりに知らない町を舞台にした本を読みたくなる。アフリカ大陸の北端地中海に面したモロッコはそういう旅情のもっえいきどころとしてぴったりな国だ。著者の四方田犬彦さんの本を読むのは『月島物語』以来だ。東京下町の月島の長屋に定住する内容だったけど、あれも...