遊園地再生事業団『トーキョー・ボディ』
作・演出:宮沢章夫/シアタートラム/指定席4200円/2003-01-31 19:30/★★★★
出演:小田豊、笠木泉、片倉裕介、久保優子、熊谷知彦、所奏、南波典子、深堀玲子、三坂知絵子、文珠康明、山根祐夫、吉田直哉
わたしはむやみやたらに観た芝居をほめまくる男ではなかった。3年ぶりの宮沢さんの芝居。いやあ、待ってた甲斐がありました。開始早々いきなりその世界の中にひきこまれて、どこに連れていってくれるのか楽しみで仕方がなかった。宮沢さんが面白いと感じるものや言葉それに「体」が、舞台の上を飛び跳ねていた。役者が語る言葉も生きていた。生きている言葉だった。何度も繰り返すことによってさらに生きてきた。無論、繰り返しすぎだという人もいるだろう。だが、4度ならよくてなぜ5度はだめなのか。3度ならいいのか。繰り返さないと伝わらないものがある。
失踪した娘を探しに東京に出てきた盲目の元教師と教え子たち。彼らは東京、あるいは「かつて東京であった街」の迷宮に飲み込まれてゆくというようなストーリー。舞台の背後の柵でかこわれて見えにくくなった空間で起きる出来事が映像としてスクリーンに映し出され、それと舞台の上の出来事がシンクロしながら話が進行していくという斬新な仕掛け。
終盤確かにテンポが落ちる箇所がある。それが意図的であるにせよ、長時間観続けて集中力が落ちてきた観客にはつらいところがあったかもしれない。あと、元教師が最後につぶやく素晴らしいセリフがあるのだが、これが事前に別のコンテキストでスクリーンに映し出される上に、チラシにも書いてある。これはその場ではじめて聞きたかった、などもちろんもっとよくできたと思えるところはあった。だが、そんなことは別にどうでもいいのだ。