M&Oplaysプロデュース『不道徳教室』

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基本的に芝居の前には予習をしない。感動を最大化するには事前に余計な予備知識はない方がいいと思っていたからだ、でも、今回は多少なりとも補助線があればぼくの貧弱な想像力が正しい方向にジャンプできただろうとこぼしたミルクを嘆いてしまう。

タイトルとキャストから想像できるように大森南朋演じる高校の男性教師と二階堂ふみ演じる女子生徒の関係がストーリー全編をつらぬく幹。ただし、それが舞台前面に浮かび上がることはほとんどなくて、教師が帰宅する生徒をストーキングして家の近くでキスをするシーンくらいだ。そういうことが二人の関係のすべてなんじゃないかと思わせる。前面に出てくるのは二階堂ふみを含む女子高生3人組の昔の少女マンガみたいな会話と、黒川芽以演じる謎の女性と大森南朋の奇妙なやりとり。時系列も微妙にシャッフルされている。

うまくリアリティを感じられなかったのはなぜなんだろうとずっと考えている。黒川芽以の職業はリラックスサロンの店員なので現代の物語と思いきや、女子高生たちの服装、話し方、会話の内容が今ではあり得ない感じだった。そして、二階堂ふみ演じる女子高生の感情がうまく読みとれなかった。それもこれも、同じ『不道徳教室』という名前の三島由紀夫の作品があり、この舞台には昭和が意図的に紛れ込んでいるということがわかっていれば、かなり改善された気がする。国文学には疎いのだ。いや、結局ぼくは乙女心というものがよくわからないのかもしれない。

今、こうして書いていることで、頭の中が少し整理されてきた。

作・演出:岩松了/シアタートラム/指定席6800円/2013-06-22 18:00/★

出演:大森南朋、二階堂ふみ、趣里、大西礼芳、黒川芽以、岩松了