ままごと『朝がある』
A県のK町。東京から360kmはなれたその町で、2012年7月9日午前7時39分通学のために最寄りのローカル駅に向かう女子高生が水たまりを飛び越えくしゃみをした一瞬を停止させて、その一瞬を何度何度も変奏曲というかラヴェルのボレロみたいに少しずつ肉付けをしていきながら物語っていく。その合間合間に間奏曲的に唯一の出演者にして語り手の自虐的(というか太宰治的?)なMCがはさみこまれるという構成。音楽的な高揚と、セカイ系的に日常と宇宙が結びつく想像力、そして数値への偏愛が垣間見える、『わが星』の系譜につながる佳作だと思う。
作・演出:柴幸男/三鷹市芸術文化センター星のホール/自由席3000円/2012-07-07 19:00/★★★
出演:大石将弘