ままごと『ツアー』

ツアー

月曜の夜9時からのまさかの観劇。見に来る客はどれくらいいるのかと思っていたら、席はすべて埋まっていた。

子どもを突然死で亡くしたハルは自家用車であてのないドライブに出かける。そこで彼女は仲間とはぐれた外国の音楽家に出会う。二人はフェスが開催される湖に向かおうとするが、途中奇妙なものを目撃して……。

もちろん経験したことはないが子どもを亡くす喪失感はなかなか克服できるものではないだろう。その重さに反して今回ハルがする経験はちょっと軽いような気がした。それで家へ帰ろうという前向きな意志を持つには、ということだが。音楽家の名雨はドッグというのだけど、チラシやWebサイトの配役表には「犬」tお書かれている。ひょっとするとかなり直前まで音楽家の役は犬だった可能性もある。言葉を話す犬に会うという体験のほうが重みがあった気もするが、そのほかとの整合性を考えるとよくわからない。

軽トラックを飲み込む「くらやみ」、旅人になりたいナビなど魅力的な登場人物やエピソードはいくつもある。今回は尺の都合もありすれちがってしまった感があるが、それらが主人公ときちんと関わる形にした完全版が待ち望まれる。

かなり辛口な感想になってしまったが、いい舞台はもっとこうすればよかったのにというところが見つけやすいものなのだ。見ていてとても気持ちのいい作品だった。

作・演出:柴幸男/STスポット/自由席2500円/2018-04-23 21:00/★★

出演:大石将弘、小山薫子、端田新菜