野田地図『ザ・キャラクター』
作・演出:野田秀樹/東京芸術劇場中劇場/S席9500円/2010-07-10 19:00/★★★
出演:宮沢りえ、古田新太、藤井隆、美波、池内博之、チョウソンハ、田中哲司、銀粉蝶、野田秀樹、橋爪功、鳥山茜、加藤諒、下司尚美、長谷川寧、朝日はるか、石原晶子、大石貴也、大西智子、川原田樹、菊沢将憲、木村悟、黒木華、黒瀧保士、近藤彩香、佐藤ばびぶべ、佐藤悠玄、白倉裕二、末原拓馬、鈴木裕二、高山のえみ、竹田靖、田坂理絵、永田恵実、野口卓磨。鳩よん助、Pawcar=Exsen、福永武史、前原麻希、益山寛司、益山貴司、萬浪大輔、三明真実、柳亜耶、ユリサ
「キャラクター」というのは「文字」と「役柄」のダブルミーニング。書道教室を舞台に、いつもの言葉遊びが書かれた文字、とりわけ漢字を使って展開される。「袖」が「神」になるというように。そして、ギリシア神話の中の役柄が登場人物それぞれに割り当てられる。ゼウス、アプロディーテー、ヘラ、アポローン、アルゴス……。
まだ見たことのない弟を探す姉のシュールでおかしな物語が、現代の日本人なら誰もが知っているある深刻な物語へと “change” してゆく。新しい視点が示されているわけではなく、悲劇はほぼぼくたちが知っているままの形で再現される。ぼくにとってはまだ生々しくて、なぜ今この物語なんだろうと思ったが、もうそれなりに時間が経過し、次の世代に向けて、そろそろ「神話」のような普遍的な物語として語り継いでいかなくてはいけないということなんだろう。