『ビビを見た!』
あれ、主人公はビビという名前じゃないんだというのが第一印象。それもそのはず。タイトルは『ビビは見た!』ではなく『ビビを見た!』だった。誰が見たかというと、ホタルという生まれつき盲目の少年。彼は謎の声により7時間だけ視力を与えられる。その代わりそれ以外の人々から視覚が失われ、折しも「敵」という謎の存在が街に近づいて大パニックが発生する。
同名の絵本が原作とのこと。ストーリーだけ取り出すと、荒唐無稽ということになってしまうので、絵本の独特の絵柄から生まれる魅力を舞台の訴求力と置き換えるのはとても難しいと思う。序盤はとても成功していたんだけど、中盤、避難する電車のシーンになってからは、ちょっとだれてしまった。こういう話はテンポが命だ。
冒頭と最後の、盲目のホタルの世界を表現する、照明を落とす選出はよかった。
あと、ビビを説得する巨人の言葉が、妻を連れ戻す時のDV男のセリフみたいで、戻らないほうがいいぞと思ってしまった。
原作:大海赫、上演台本・演出:松井秀/神奈川芸術劇場大スタジオ/指定席5300円/2019-07-06/★★
出演:岡山天音、石橋静河、樹里咲穂、久ヶ沢徹、瑛蓮、師岡広明、大村わたる、熊野晋也、岩岡修輝、長尾純子、中島妙子、小林風花