『プレイヤー』
新設されたばかりの地方の公共劇場。そこで上演される新作の稽古場が舞台。若い女性が失踪しやがて人里離れた山小屋で死体が発見される。それとともに彼女が生前親しかった人々に奇妙なことが起きる。時折彼女としか思えない口調で話し始め、当人はそのことを覚えていないのだ。
サスペンスフルで観客をひきつける力のある物語なので、最初は、なぜ劇中劇な扱いにして間接的にしてしまったのか疑問だった。やはりオリジナルのイキウメの舞台では劇中劇という設定はなかったらしい。しかし、この二重性は、シリアス一辺倒の物語に笑いや息抜きの効果をもたらすだけではなく、終盤大きな意味をもってくる。
この二重性の試み、単線的な物語にひねりを加えられて玄人好みなギミックでとてもいいと思うんだけど、ただラストはもう少しあやふやな感じにしておいたほうが、より奇妙な味を残せた気がする。これだと物語の世界観に吸収されて終わりになってしまう。どうせ吸収させるならもっと破壊的にとことんやるのもありだったかもしれない。
作:前川知大、演出:長塚圭史/シアターコクーン/S席10500円/2017-08-05 19:00/★★★
出演:藤原竜也、仲村トオル、成海璃子、シルビア・グラフ、峯村リエ、高橋努、安井順平、村川絵梨、長井短、大鶴佐助、本折最強さとし、櫻井章喜、木場勝己、真飛聖