阿佐ヶ谷スパイダース『イヌの日』

作・演出:長塚圭史/本多劇場/指5500円/2006-11-19 19:00/★★★

出演:内田滋、伊達暁、美保純、大堀こういち、村岡希美、長塚圭史、八嶋智人、劔持たまき、中山祐一朗、松浦和香子、玉置孝匡、水野顕子、大久保綾乃

地上は人が住めなくなったというたわいもない嘘にだまされ、17年間も地下で生活し続けたかつての少年、少女たち4人。外見はともかく中身は少年、少女のままの彼らは、地下でそれなりに楽しみを見つけながら生活している。いよいよ外に出られることになったとき、彼らが選んだのは……。

再演らしい。今回ストーリーは地上と地下で交互に進行するが、みていないので確かなことはわからないものの、初演では物語はほぼ地下で進行したのでないだろうか。確かに地上の場面があった方が物語の奥行きや整合性を増すとは思うが、地上のシーンがなければもっと地下の世界のリアリティーが感じられただろうと、ないものねだりをしたくなった。

暴力シーンが頻発するが、暴力によって物語が壊されてしまうことはない。ストーリーをたどればかなり暗い物語だが、そのあたりに人間性に対するかすかな信頼があって、一抹の明るさが感じ取れるのだった。