『マテリアル・ママ』

作・演出:岩松了/新国立劇場小劇場/指5250円/2006-05-02 19:00/★★★

出演:倉野章子、仲村トオル、伊藤歩、岩松了、早船聡

娘の車をまるでペットのように畳の部屋に置く女性と、彼女に車を売るために通ってくるセールスマン、その妹、隣家の男、介護ヘルパーの男の5人がおりなす奇妙な物語。

2組の近親相姦がからんでくるのだけど、物語の展開に困ると拳銃を使って登場人物を減らす手法と同様、近親相姦も禁じ手にしたほうがいいような気がする。

とはいえ、岩松了独特のセリフ回しは今回も異様にすばらしい。いつまでもそのセリフをきいていたくなるのだ。パンフレットのチェルフィッチュ主宰岡田利則と岩松了との対談で、岡田が、「岩松さんのは物語とかテーマに奉仕するセリフってないんですよ。その人物が、そういう都合のためにでなく、ただ人物自身の都合だけでしゃべっている」といっていたが、うまいこというなと思ったのだった。

倉野章子ははじめて見るけど、年齢を越えたコケティッシュさがある女性を演じていてとてもすばらしかった。仲村トオルはほんとうにダイコンだが、多分にそこに味のようなもの(味噌ダイコン?)があるのだろうと思う。