岩松了3本連続公演『アイスクリームマン』
作・演出:岩松了/ザ・スズナリ/指4500円(3本セット10000円)/2005-05-13 19:00/★★★★
出演:荒川良々、小島聖、高橋一生、近藤公園、平岩紙、少路勇介、遠藤雅、星野源、佐藤直子、池下重大、チョウソンハ、中込佐知子、柳野コーセイ、杉内貴、鈴木リョウジ、塚本三直恵、早舟聡、坂井貴子、三浦義徳、望月秀人
記念すべき100回目の観劇。7年かけて達成した偉業(と思っているのはぼくだけだが)に感慨もひとしおだ。奇遇なことに、最初に観た芝居も岩松了の『スターマン』で、劇場も同じスズナリだったのだ。
同じ「マン」つながりであることからわかるようにほぼ同時期に書かれた作品ではあるけれど、向こうが「静」ならこちらは「動」と「騒」、向こうが出演者数名の家族劇なら、こちらは20名が入れ替わり立ち替わりの群衆劇で、対極的な作品だ。舞台は山の中の自動車教習所。宿舎のロビーではさまざまな人々が交差する。これから会社をたちあげようとする男女数人のグループ、卒業できず6ヶ月間もいる男、いつもアイスクリームを食べている男、挙動不審の中年女性教師、宿舎を管理する職員の女性と彼女を訪ねてきた美しい姉。そこにあるのはほとんど無意識的といっていいような人間の悪意だ。その悪意がラストの芸術といっていいくらい狂騒的シーンで炸裂する。
チョウソンハのエキセントリックな演技がよかった。平岩紙の眼鏡姿はかわいい。荒川良々の存在感はすばらしい。彼がスーツ姿であらわれるだけで笑いが起きる。
ただひとつの不満は席がよくなかったこと。テーブルとテーブルの間の仕切りに邪魔されて右手奥のカウンターがまったく見えなかった。