遊園地再生事業団+ニブロール『トーキョー/不在/ハムレット』

作・演出:宮沢章夫/シアタートラム/指4500円/2005-01-15 19:00/★★★

出演:大河内浩、熊谷知彦、田中夢、岩崎正寛、鈴木将一朗、上村聡、片倉裕介、岸健太朗、山根祐夫、三坂知絵子、いせゆみこ、笠木泉、佐藤一晃、渕野修平、柴田雄平、南波典子

埼玉県で唯一利根川の北側に位置する町、北川辺町を舞台にしたハムレット。ただしハムレットに相当する人物、牟礼秋人は一度も舞台に現れない。「不在」なのだ。それでも確実に事件はおきていって、何人かが死ぬ。それは死というより、存在から「不在」への移行なのかもしれない。

ニブロール振り付けのダンス、大河内浩の二役の演技、「詩人」のつぶやきとスクリーンに映し出される水辺の風景、桜井圭介の音楽、ひとつひとつをとればどれもこれもすばらしいものばかりなのだが、それだけにもっともっとすばらしくできたのではないかと思ってしまう。最初何かが不足しているのかと思い、ハムレットのストーリーをオフェーリアの死までしか追えていないところが物足りないのかと考えたが、別に今さらハムレットを繰り返す必要なんてないはずで、そもそも何かが足りないわけではなく、逆に過剰なのではないかと思えてきた。

登場人物やエピソードやシーンを絞り込んで、もっと「不在」を徹底させてもよかったのではないだろうか。