我思う、故に我在り

Q

高校の時、デカルトの「我思う、故に我在り」ってのをカタカナで「コギト エルゴ スム」?と覚えましたが、言語として、スペル、文法も含め詳細を知りたいです。(O.Kさんの質問

A

ラテン語です。スペルは"cõgitõ, ergõ sum."。 oの上についている波線は長音記号なので、発音上は「コーギトー エルゴースム」と書くほうが正確だと思います。デカルトはフランス人ですが、デカルトの生きていた時代(1596~1650)には、知識人の公用語はラテン語で、著作もラテン語で書かれたようです。

さて、このスペルを見て、不思議なのは、単語が3つしかないことです。普通に考えると、「我」「思う」「故に」「我」「在り」で少なくとも5つの単語はなければならないはずです。残りの2つはどこにいったのでしょう。

実はラテン語では、動詞の活用形を見るだけで、主語の人称・数がわかってしまうので、代名詞が主語の場合はほとんど省略するのです(現代イタリア語も同様です)。“cõgitõ“は「考える」という意味の動詞の一人称単数形。“ergõ“は「故に」。“sum"は「在る」という意味の動詞の一人称単数形です。ラテン語の辞書では、動詞は一人称単数形が見出しになっているので、そのままの形でひくことができます。