『かがみのかなたはたなかのなかに』
こどももおとなも楽しめる芝居という触れ込み。舞台の手前と奥に境界があって、向こう側が鏡の中という設定。手前の世界の海軍士官タナカと向こう側のカナタ。二人は互いの存在に気がつき、友人になる。毎日ピザの配達にやってくる配達員は実は女性でコイケと名乗った(長塚圭史の女装)。彼女にも鏡の中の分身がいて名前はケイコ、松たか子が演じている。自信家で積極的なコイケと引っ込み思案で自己評価の低いケイコなにかと対照的な二人だが、男たちはどちらもケイコに恋をし、コイケの存在を邪魔に感じ始める。彼らはコイケを亡き者にし、そのあとでどちらがケイコと恋人になるか決めることにする……。
ときおりこどもたちの笑い声が聞こえていて、確かに楽しい芝居だったと思う。欲をいうなら日常の世界やふだんみてる子供番組やアニメにはない深みを感じさせてあげたかった。それも、トラウマぎりぎりで、一生忘れられない夏休みになるような。いや、ぼくが味わいたかった。
作・演出:長塚圭史/新国立劇場小劇場/A席5400円/2015-07-25 15:00/★★
出演:近藤良平、首藤康之、長塚圭史、松たか子