阿佐ヶ谷スパイダース『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』

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作・演出:長塚圭史/下北沢本多劇場/指定席5500円/2010-02-11 18:00/★★★

出演:池田鉄洋、内田亜希子、加納幸和、小島聖、伊達暁、中山祐一朗、馬渕英俚可、光石研、村岡希美、山内圭哉

阿佐ヶ谷スパイダース、1年半の充電期間を経ての新作。充電前には2本しかみたことないので、とりとめのない雑感になってしまうが、泥と血のにおいが感じられる舞台だった。それが今回は、泥臭さはぬけ、血はでてくるが、より観念的になり、においはしなくなった。一言でいうと、「洗練」された。

ある小説家が主人公。グロテスクなホラーを書いていた彼は、作風を変えて観念的な小説を書くようになった。以前のファンを中心に酷評を浴びて、彼はいらつき、編集者をつれて夜の街に気晴らしにいく。そこで彼はとてつもなく奇妙な世界に迷い込む……。

語るものと語られるもの、自ら動くものと動かされるもの。ラストで謎の骨格は明らかになるが、それでも謎は謎のままだ。その狐につままれた感じが心地よかった。音響効果や、影の使い方も、すばらしいの一言だった。

この作品が先取りして描いているように、今までのファンは一部離れるかもしれないけど、阿佐ヶ谷スパイダースにはこれからこの方向でがんばってほしい。