地点『あたしちゃん、行く先を言って -- 太田省吾全テクストより --』
構成、演出:三浦基/吉祥寺シアター/指定席3500円/2010-01-23 19:30/★
出演:安部聡子、石田大、大庭祐介、窪田史恵、小林洋平、谷弘恵
今年はじめて、すなわち2010年代はじめての観劇。
わかりやすさが最優先される昨今の風潮にあらがうように独自の表現をとぎすませている京都を拠点とする劇団地点。今回は2007年に亡くなった日本演劇界の重鎮太田省吾のテキストをベースにしている。彼の戯曲や評論の一部の抜粋を俳優たちが奇妙な抑揚、身体の動きをつけながら、音楽を演奏するみたいに再現しているのだ。
今回はぼくのリテラシーの低さが痛感される舞台だった。彼らがやろうとしていることを一言でいえば「異化」ということになると思うんだけど、それを理解するには異化される前のオリジナルを知っておかなくてはいけない。題材とされた太田省吾についてぼくはほとんど何も知らなかった。そしてさらに、今回の異化の方法論についても、どういう文脈のもとにそこにたどりついたかを知らないので、それ自身として楽しむことができなかったのだ。上演中に一時意識を失ってしまった。10年以上演劇をみてきてはじめての経験だった。