サンプル『ブリッジ 〜モツ宇宙へのいざない〜』

松の内の意味がよくわからないけど松の内が開けて今年初の観劇。6月に本公演の作品のワーク・イン・プログレスだそうだ。

人は誰も自分の腸にモツ宇宙を持ちやがて腸から裏返って人間を超えた存在になることができるという教義をもつユニークな新興宗教のセミナーという体で舞台は進行する。観客はそのセミナーに聴衆として参加している一般客ということになっている。

パネラーとして参加している信者の面々のフリークぶりがすごい。こういう人たちは実際にいそうでもある。極めつけは途中から登場するこの集団のリーダーにして預言者であるドクター(古屋隆太)の存在だ。いかがわしさがにじみ出ている。しかし彼は死を目前にしているからなのか信者の一途な信仰に疑義をはさんだり筋の通ったまともなことを言う。

そういう設定が真に迫りすぎてときどき自分が芝居をみにきているのか間違えて変なセミナーに参加していまっているのかよくわらかなくなる瞬間が何度かあった。そのいたたまれなさがおもしろくて笑う。

おそらくだが、今回の公演は人物紹介的な前置きであって、本公演はまったく違う形になるのではなろうか。ドクターが言っていた言葉の中に宗教の行く末は結局サリンをまくか権力に飼い慣らされるかどちらか2つしかないんじゃないかという言っていてそれはこの作品のいきつく姿の話でもあって、どちらでもない形を是非みてみたい。6月の本公演が楽しみだ。

作・演出:松井周/アーツ千代田3331 B104/自由席2800円/2017-01-14 18:00/★★★

出演:古屋隆太、奥田洋平、野津あおい、天明留理子、武谷公雄、伊東沙保、鶴巻紬、山田百次