『この世界から消える魔球』

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作・演出:ブルースカイ/ザ・スズナリ/指定席3800円/2009-03-14 19:30/★★★

出演:池谷のぶえ、粕谷吉洋、喜安浩平、小村裕次郎、高田郁恵、原金太郎、松浦羽伽子、三浦俊輔、安澤千草、吉増裕士

昔猫ニャーという劇団があった。ナンセンスな笑いが身上で、その当時全盛期だったナイロン100℃の亜流的なポジションだったけど、ナイロンがシリアスさや主流演劇のエッセンスをとりいれて、いわばお金の取れる芝居の方向に進んでいったのに対し、猫ニャーは、チープで脱力した笑いにこだわり続け、ついには解散してしまった。でも、「ばかげた」という言葉をほめ言葉として使えるのはこの劇団だけだったと今でも思う。

猫ニャーの台本、演出を担当していたのはブルースカイというふざけているのかまじめなのかわからない名前の人で、解散の時にもう演劇はやめるといかいっていたので、その才能を惜しみつつも、彼が演劇を続けていく上での苦労がうかがい知れるような気がして、その新たな人生を祝福してあげたい気持ちだった。

さて、そのブルースカイがまた演劇の世界に帰ってきているという(というか完全には抜け切れていなかったようだ)。猫ニャー解散後、自分の名前を前面に出した作品としては二作目にあたる本作のチラシを見かけて、これは見なくてはと思った。

パラダイス劇場という公開処刑場を親から引き継いだ貧しい兄弟。一時期は花形の娯楽だった公開処刑もいまでは閑古鳥がないて、次の処刑者でもう何年もここにいる連続放火魔の男からも同情されてしまう始末。そこに魔女裁判で有罪になった新たな処刑者がやってきて、彼女を助け出そうとする息子が、パラダイス劇場に潜入するため、処刑のチケットを売るため世界を巡る……。

いやあ、変わらない。それはよくも悪くもという意味で、中だるみは当然のようにあったりもするわけだが、それを含めても、十分おもしろかった。いろいろ大変かもしれないけど、これからも続けてほしいと思ったのだった。