五反田団『すてるたび』

作・演出:前田司郎/アトリエヘリコプター/自由席1500円/2008-11-15 19:30/★★★

出演:安藤聖、黒田大輔、後藤飛鳥、前田司郎

前田司郎の作品は三作目。最初に観たのが『生きてるものはいないのか』だったので、ちょっとミスリーディングさせられてしまったような気がするが、ようやく前田司郎の描く世界がわかったような気がする。人間の生と死のあわいの暗がりからうまれる不条理と笑い。ぼくのストライクゾーンのど真ん中だった。

長女、長男、次男の三人姉弟と次男の妻。彼らの父親(あるいは犬らしいがよくわからないペットのタロウのどちらか)が亡くなったので、遺体を埋葬するため4人で旅をする。車窓からみえる巨大な観音像の怒りを買ったり、子宝が授かるという神社の這うのがやっとの洞窟を通り抜けたりしながら、彼らは目的地の海へと向かってゆく。

The Shampoo Hat から客演の黒田大輔が大活躍だった。けっこう、この役は役者冥利に尽きるんじゃないだろうか。そのほか小道具の4脚の椅子たちがときには列車の座席になったり洞窟の通路になったりと変幻自在ぶりをみせてくれた。芝居に豪華な舞台装置は不要で想像力だけがあればいいということをあらためて教えてくれた。