PC音質向上キャンペーン(2)

前回はとりあえず平衡状態にあるようなことを書いたが、書いている最中からそれは有名無実化していて、水面下で激しい攻防が繰り広げられていたのだった。

当初考えていたのは DAC付のヘッドフォンアンプだった。audio-technica製のAT-HA25Dだ。ヘッドフォンアンプといいながらライン出力がついているので、アクティブスピーカーに直結することができる。実売2万をきっていてお値頃だし、今までのUSBオーディオインターフェースをDAC代わりにする構成より論理的に美しい。だが、AT-HA25DにのっているDACがいままでのUA-3のDACよりいいという保証はどこにもなく、むしろ同程度と考えたほうがいいということに気がついた。

そこで矛先を向けたのはFirewire(IEEE1394)接続のオーディオインタフェースだ。USB接続のインタフェースと比べるとプロ向きで音質に気を配った製品が多い。特にコンパクトなAudioFire2に惹かれた。だが、その分価格は高めで、相性問題が発生するリスクが0でないことを考えると、もう少し広い範囲で探してみてからにしたかった。

それで気がついたのが、最近ぼちぼちでてきたUSB2.0接続のインタフェースだ。通常のUSB1.1のインタフェースに比べると帯域幅が広くて、安定性が期待でき、しかもコストパフォーマンスが高い。結局、発売されたばかりで評判のいいCreative E-MU 0202 USBを買ってしまった。光デジタル入出力を備え高機能な上位機種の0404 USBも考えたが、ACアダプタが必要というところが、気に入らなかった。

0202 USBの音質はすばらしい。一聴して音の透明感に驚いた。ライン経由のスピーカーだけでなく、専用のヘッドフォンアンプを通したヘッドフォンの音もいい。ただ、高負荷時のプチプチノイズは、軽減はされたものの、まだ発生している。当初の目的は果たせないことになるが、それでもいいと思わせる音質だ。

ついでにPCオーディオ関係の話題をもうひとつ。SonyからSonicStage CP(SonicStage Ver.4.2)が公開されている。Windows版のみだが誰でも自由にダウンロードしてインストールできる。iTunesのファイル形式AACにも対応済みだ(iTunes Storeで購入したファイルはだめ)。

使い勝手はiTunesに比べるといまひとつだが、DSEE(Digital Sound Enhancement Engine)という再生時に圧縮音源を高音質化する技術に興味を惹かれた。CreativeのX-Fiのような子供だましではなく、圧縮にともなって劣化した高音域をまじめに補完する技術のようだ。ところが、手持ちの128kbpsのAACファイルをDSEEのON/OFFを瞬時に切り替えて再生しても、差異をほとんど感じられない。AACというファイル形式にDSEEが対応してないのか、128kbsのAACは高域の劣化が少ないので効果が感じられないのか、あるいはぼくの耳が悪いのか。